特集!「指揮者 金井俊文」を磨くハンガリーの魅力

前回の掲載でもご登場頂いた指揮者 金井俊文さんと共に、音楽からハンガリーの魅力に迫る今回の企画。



ご本人のリスト・フェレンツ音楽大学(Liszt Ferenc Zeneművészeti Egyetem)卒業までの歩みを振り返り、音楽の都ブダペストで誕生した指揮者・金井俊文さんの現在をレポート。

かつての学び舎、リスト・フェレンツ音楽大学(Liszt Ferenc Zeneművészeti Egyetem)前で

学生時代、金井さんが多くの時間を過ごした通称リスト音楽院教育棟(Liszt Ferenc Zeneművészeti Egyetem-Ligeti György épület)から今回の取材はスタートした。 

笑顔でインタビューに答える金井さん

プロフィール金井俊文 ( Kanai Toshifumi ) 指揮者 Conductor (Karmester)

1984年群馬県出身。桐朋学園音楽大学音楽学部、洗足学園音楽大学大学院ファゴット専攻を卒業。在学中、日本クラシック音楽コンクール、大阪国際音楽コンクールに入選し、桐朋学園在学中より指揮研究を始め、自ら設立したオーケストラと演奏活動を開始。卒業後、日本各地でオーケストラ指揮者、オペラの副指揮者として活動し2013年に渡洪。リスト・フェレンツ音楽大学指揮科に入学し、2015年6月、外国人としては初となる指揮科ディプロマを取得し卒業。 秋山和慶、山本七雄、瀬越憲、Ádám Medveczky、András Ligeti、Tamás Gálの各氏に指揮の指導を仰ぎ、また巨匠として名高いクルト・マズア、ヨルマ・パヌラ氏のマスタークラスを受講。現在もハンガリーを拠点に日洪両国で活動中。


-間違って録画したテレビ番組がハンガリーへ導いた!?

多くの方が知りたいはずの「なぜハンガリーに?」という質問を金井さんに伺った。すると、驚きの回答が返ってきた。

金井:中学生時代に映画を録画予約したのですが…「日曜洋画劇場」のはずが、間違って教育テレビで放映されていた「芸術劇場」を予約してしまい…。

それに気付いておらず、再生すると「ハンガリー国立ブダペスト・オペレッタ劇場日本公演」が流れ始めまして。

それを見た当時の僕はその映像にとても魅了され、オペレッタ、そしてハンガリーという地に引き寄せられました。

※オペレッタ:小さなオペラまたは軽歌劇などと訳され、オペラから派生したもの。19世紀後半、パリやウィーンを中心に流行した舞台芸術の一種。貴族向けのオペラは悲劇を多く扱うのに対し、オペレッタは庶民にも楽しめるような軽妙なストーリーと歌による娯楽的な作品が中心である。


-リスト・フェレンツ音楽大学は日本人に優しい!?

金井さんのお話では、リスト・フェレンツ音楽大学には優れた音楽教育以外にも様々な授業があるそうだ。中には日本人学生だけが受講できる科目があるということで、更に話を伺った。

金井:実は、(通称)リスト音楽院のピアノ科をご卒業された日本人の先生による日本人だけのハンガリー語の授業があります!

ハンガリーで音楽活動をしていく際、言語の習得は必須ですし、他国の人にはないので本当に特権ですね!

他にもドイツ語や英語もありますし、ヨーロッパの歴史、文化、美術史の授業など、音楽以外での教養も深められます。

また、様々なコンサートの学生チケットは200円程度で入手でき、学外でも本当に勉強しやすい環境でした。

ハンガリーのオーケストラで指揮をする金井さん


-日本での学びがハンガリーでの学びを支えた-

大学院から指揮科へ異例の入学を果たした金井さん。本来、大学院の指揮科へ入学するためには、学部の指揮科卒業資格が必要となる。そのため金井さんの入学条件は、通常の大学院入学試験に加え、学部入学試験、その他課せられた課題を優れた成績で通過することであった。そのような難題を乗り越え、外国人として初の指揮科ディプロマを取得された金井さん。日本で学んだ後に、ハンガリーに渡って修行されたご本人の強みについて伺った。

金井:日本の音楽教育は基礎練習をとても大事にしています。

ソルフェージュ(音楽の基礎教育)を日本で積み重ねてきたということ、さらに日本の教育文化の中で培ってきた道徳や礼儀なども、先生方や演奏者たちと信頼関係を築く上で重要だと感じましたね。

こちらに来て、確かに自分の弱点にも気付きました。

日本にいたころは、「ミスをしない」ということに執着していたところがありました。

音楽も言葉と同じ、各々の作曲家や国によって表現方法が異なります。

リスト音楽院のレッスンで「音楽を表現しろ!」、「作品の中身を表現することにエネルギーをそそげ!」とよく言われ、心に響きましたね。

綺麗に演奏するだけでなく、内面部分を音楽に映し出す大胆さが足りないことに気付かされました。


-金井さんの目指す指揮者とは-

金井:「コンサートにおいて、演奏者と聴衆が作品の持つ魅力を共有出来る場を作り出す」、これが私の目指す指揮者です。

指揮者は舞台の真中で目立ってしまいますが、作品自身や演奏者たちの素晴らしさを引き出し、その魅力を観客の皆様といかに共有していくか、それが僕の課題ですね。


 指揮者 金井俊文さんは、音楽、人に対してまっすぐな姿勢が非常に印象的な方であった。オペレッタへの憧れと夢を追い、音楽を通して自分を育てた日本への社会貢献のため、異国の地ハンガリーでひたむきに努力を続けるー。

そんな金井さんの今後のご活躍をFinoMagazin編集部も応援していきます!

インタビュー:指揮者 金井俊文さん、取材・文:フィノマガジン編集部 武田友里

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大阪生まれの大阪育ち。神戸大学で人間行動学を専攻。中学校・高等学校1種免許(保健体育)、小学校専修免許状を所持し、子どものスポーツ教育に従事。その後、ハンガリーへ渡りブダペスト メトロポリタン大学大学院でメディアコミュニケーション学を学ぶ。現在もブダペスト在住。FinoMagazinライターの傍ら、ロケーションコーディネーター、ウエディングフォトプランナーとしても活動中。ハンガリー情報はお任せあれ。英語、ドイツ語もOK!! 日本拳法で全国制覇の経験もあり、心身の強さには自信アリ。知力・体力を磨いて、世界の現場から日本の教育にアイデアを届けることをモットーに、様々な分野で執筆に励む。

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