ヨーロッパの小国ハンガリーが世界に誇る刺繍アート


ドナウ川に浮かび上がるかのような幻想的な夜景で、世界遺産にも認定されるほど美しい首都を持つハンガリー。

街の景観と同様に、この国にあるさまざまな伝統工芸品を見ても、その美しさには目を見張るものがあります。

この国の数ある美しい伝統工芸品の中でも特に注目したいのがハンガリー刺繍です。

その溢れんばかりに濃密にあしらわれた花の刺繍はただただ美しく、世界中の手芸ファン達にこよなく愛されています。

 

白いレースとの組み合わせが多いカロチャ刺繍

 

©FinoMagazin 漁夫の砦があるエリアの蚤の市 風にたなびくカロチャ刺繍のテーブルクロスたち

その精密で色鮮やかな花の刺繍に、手芸ファンなら誰もが足を止めてじっくりと見入ってしまうはず。

そんなハンガリー刺繍の中でも、特に有名なのはカロチャ刺繍と呼ばれるものです。

 

刺繍は女性のたしなみ、家庭で紡がれた作品

カロチャ刺繍のカロチャ(KALOCSA)とは地名で、ハンガリーの南に位置するカロチャは、ドナウ川のほとりにあるカトリックの町です。

その町や周辺の村で生まれたカロチャ刺繍は、19世紀中頃から民芸品としての価値が急速に高まりました。

ハンガリー刺繍の大きな特徴は、庶民の手によって育まれ紡がれてきたところにあります。

©FinoMagazin ウルメイニシュに1人で暮らす80歳のおばあちゃんの作品

©FinoMagazin ハンガリー中部の田舎の村、ウルメイニシュに暮らす80歳のおばあちゃんの手作り刺繍

こちらの写真の刺繍は、ハンガリーのご年配のおばあさんがご自宅で紡いで作り上げたタペストリー。

昔は刺繍のパターンと色彩から、作り手である女性の身分まで分かってしまったのだとか。

刺繍のデザインには女性の喜びや悲しみ、喜怒哀楽が表現されてきたのだそうです。

 

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©FinoMagazin ペシュトのクリスマス・マーケットにて

写真は、現在ペシュトのクリスマス・マーケットのお店に並ぶハンガリー刺繍たち。

 

ユネスコの無形文化遺産に指定されたマチョー刺繍

©János Korom Dr. Mezőkövesd (39) Szt. László-templom - matyó hímzés

©János Korom Dr. Mezőkövesd (39)Szt. László-templom – matyó hímzés

 

また、ハンガリー刺繍はカロチャの他にも、東部のマチョー地方で生まれたマチョー刺繍というものが同じく有名です。

たとえ貧しくとも伝統芸術を守り抜き、ハンガリーの魂を伝えるマチョー刺繍。

その地方の女性達が懸命に紡ぎ続けて今日があるマチョー刺繍は2012年、ユネスコの無形文化遺産として登録されるほど世界的に知られる存在となりました。

マチョー刺繍とカロチャ刺繍の違いは一見、かなり分かりにくいですが、マチョー刺繍をよく見ると、彩り豊かで濃密な絵柄が印象的。

あしらわれる花々の間隔がとても狭く、写真では白地ですが、黒地の布に花を題材にした精密な刺繍が散りばめられているのが特徴です。

 

街角スナップ マチョー刺繍のドレスをまとったドール

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©FinoMagazin クリスマス・バザーが行われているペシュトの街角で

 

マチョー刺繍は色とりどりの花が濃密にあしらわれているものが多いですが、なかには鳥などの動物をモチーフにした刺繍も数多くあります。

ブラウスやバッグにもワンポイントとして施され、自宅にタペストリーとして飾る人も多く、まさに手作りの真骨頂ともいえるような素晴らしいハンガリー刺繍たち。

 

©FinoMagazin 漁夫の砦があるエリアの蚤の市 風にたなびくカロチャ刺繍のテーブルクロスたち

 

その世界はとても奥が深く、いろんなデザインを知れば知るほど、その尽きない魅力にとことんハマってしまいそうですね。


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ブダペスト在住ワイン(とインテリア)コラムニスト。フィノマガジン主宰。ワインアドバイザー(Wine & Spirits Education Trust認定Higher Certificate)。現在はオーストリアのWSETでDiplomaコースに通い、MWの夢をいまだ捨てきれず勉強継続中。大手食品メーカー、ワインインポーターの社員として勤務後、広告業界へ。元博報堂グループ(広告代理店)コピーライター、ディレクター(AD & WEB)、プロモーション・プランナー。現在は出版社や雑誌社をはじめ、さまざまな媒体で執筆業を中心に活動。◎受賞歴: J-wave主催Webビジネス開業支援コンテスト特別賞受賞(企画書制作部門)◎メディア出演歴:湘南ビーチFM(ラジオ局)“ワインのお話”メインレギュラー(約2年)。2016年: amebaTV、abemaNews、ハンガリーのネイル製品ブランドMoyra(モイラ)の日本部門【Moyra Japan】代表。

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