1/23日本公開!カンヌ・グランプリに輝いたのは、ハンガリー人の新鋭監督ネメシュ氏の「SAUL FIA 〜サウルの息子」


2016年1/23より日本全国ロードショー!

「SAUL FIA (SON OF SAUL) 〜サウルの息子」

Introduction

2015年のカンヌ国際映画祭のコンペ部門で、ある無名の新人監督の作品が上映されると、場内は異様な興奮に包まれた。その衝撃は瞬く間に映画ジャーナリストたちの間に伝わり、その卓越した撮影法と演出により、長篇デビュー作にして見事カンヌのグランプリを獲得するという異例の快挙を成し遂げた。その新鋭監督とは『ニーチェの馬』で知られる名匠タル・ベーラの助監督をしていた38歳のハンガリー出身のネメシュ・ラースロー。強制収容所に送り込まれたユダヤ人が辿る過酷な運命を、同胞をガス室に送り込む任務につく主人公サウルに焦点を当て、サウルが見たであろう痛ましい惨劇を見る者に想像させながら描く。これまでの映画で描かれた事の無いほどリアルなホロコーストの惨状と、極限状態におかれてもなお、息子を正しく埋葬することにより、最後まで人間としての尊厳を貫き通そうとした、一人のユダヤ人の二日間を描いた感動作。

出典:映画『サウルの息子』公式サイト http://www.finefilms.co.jp/saul/


 

2015年5月24日現地時間、第68回仏カンヌ国際映画祭の授賞式が行われ、ハンガリー出身・ネメシュ・ラースロー監督(László Nemes)の「SAUL FIA (SON OF SAUL) 」が、栄えあるグランプリに輝きました。

 

第68回フランス・カンヌ国際映画祭(Festival de Cannnes)

コンペティション部門の第二位に当たる審査員特別グランプリ(Grand prix)に、ハンガリー出身のネメシュ・ラスロー監督による『SAUL FIA (SON OF SAUL) (原題)』が選出されました。

ハンガリーの巨匠、タル・ベーラの助監督をつとめてきたネメシュ監督。

彼は長編映画を初監督した作品で、新人監督賞のみならず、いきなり審査員特別賞グランプリという大きな賞を受賞したのです。


  • sonofsaul

©festival-cannes.fr

SAUL FIA (SON OF SAUL) はナチスのホロコースト時代、アウシュビッツの強制収容所で同じユダヤ人の収容者を管理する職務を務めねばならないユダヤ人の史実に基づく物語です。

-ストーリー-

1944年10月。アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所。
Saul Ausländer は、ユダヤ人収容者グループ「ゾンダーコマンド(特別労務班員)」の一員です。

彼らはほかのユダヤ人とは隔離され、ナチス党員によるユダヤ人殺戮を補助する役目を与えられています。
彼は焼却炉で働いている時、自分の息子だと思われる死体を発見します。
「ゾンダーコマンド(特別労務班員)」が蜂起を企む一方、彼は大それた計画を実行しようとします。

子供の体を炎から守り、子供に真の墓を与えようとするのです。

出典元:カンヌ国際映画祭 公式サイト

ナチスによるホロコーストが進行中、他のユダヤ人収容者を管理する権限を与えられた同じユダヤ人の収容者たち。

自分たちの処刑が先送りにされる代償として、先にガス室に送られ殺害されたユダヤ人たちの遺体の後処理をさせられるというとても過酷な現実。

幾重にも重なる裸の死体。

死体の山を目の前に、必死に床の汚物を洗い流す残酷な仕事。

地獄絵図を繰り返し目の当たりにする主人公はしだいに表情を失い、狂気に陥っていきます。

 

laszlonemesdirector

©László Nemes ラスロ・ネメシュ監督

現地時間5月15日に、カンヌ国際映画祭コンペティション部門で上映された「SAUL FIA (SON OF SAUL) 」。

現在、38歳のネメシュ監督ですが、映画のストーリーは彼の先祖が実際にホロコーストで体験した実話を元にしているそうです。

「子供の頃からこの話に取り憑かれていた。

だが、ドキュメンタリーを作るわけではないので、フィクション性を出すために主人公の視点を終始狭めて物語を進めるようにした。

主人公には見えていないガス室での出来事などを描いていないのは、この映画を悲劇で終わらせたくなかったから」

と映画についてインタビューで答えています。

監督はニューヨーク大学で映画を学んだ後、「ニーチェの馬」で知られるハンガリーの映画監督タル・ベーラの助監督を務めていました。

当初、テーマの難しさと、監督自身の知名度がまるでなかったために、同映画を製作するにあたり資金繰りは難航を極めたそうで、最終的に後押ししてくれたのは、ハンガリーの国の映画基金だったそうです。

主人公のクローズアップを中心にした手持ちカメラでフィルム撮影、フィルム上映の同作品。

ハンガリーの巨匠、映画監督のタル・ベーラ氏が引退した今、素晴らしい才能を持つハンガリーの新人監督が、初の長編映画監督作にしてカンヌのグランプリという大きな偉業を成し遂げたのです。

授賞式の際、デンマークの俳優Mads Mikkelsenから賞を受取ったネメシュ監督は、

「私にとって初めてのカンヌでした。

本作では、新しい世代の人々に、ヨーロッパのユダヤ人の殺戮について話したかったのです。

本作をストリッピングフィルムでできてよかったです。映画の魔法です!」と、感無量の様子でスピーチしていました。

実はハンガリーという国は、ハリウッド映画をはじめとした世界中の映画製作者達がこぞってロケ地に選ぶほど、映画ととても縁の深い国なんです。

ニューヨークで映画製作を学んだネメシュ監督ですが、映画と関わりの深いハンガリーで生まれ育ったことも、現在の監督の制作スタイルに大きな影響を与えているのかもしれませんね。

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ブダペスト在住コラムニスト。フィノマガジン主宰 兼 編集長。ワインアドバイザー(Wine & Spirits Education Trust認定Higher Certificate)。元博報堂グループ(広告代理店)コピーライター、ディレクター(AD & WEB)、プロモーション・プランナー。現在は出版社や雑誌社をはじめ、さまざまな媒体で執筆業を中心に活動。 現在連載中の他メディア◉【住まいの大学】インテリア講師 ◉【Yahoo! Beauty &TRILL(ヤフー!ビューティ&トリル)】ライター ◉ビューティメディア【Faura(ファウラ)】コラムニスト ◎受賞歴: J-wave主催Webビジネス開業支援コンテスト特別賞受賞(企画書制作部門)◎メディア出演歴:湘南ビーチFM(ラジオ局)“ワインのお話”メインレギュラー(約2年)。ハンガリーのネイル製品ブランドMoyra(モイラ)のSole Agent【Moyra Japan】代表。

2 Replies to "1/23日本公開!カンヌ・グランプリに輝いたのは、ハンガリー人の新鋭監督ネメシュ氏の「SAUL FIA 〜サウルの息子」"

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    大湾節子 1月 6, 2016 (12:28 am)

    ロス・アンジェルス在住の大湾節子です。
    昨晩のPublic television (PBS)の Cahrlie Roseというインタビューの番組で、この作品が紹介されました。監督さんと主演の男性が出演しましたが、今までとはまったく違ったイメージのフィルムメーカーでとても興味を持ちました。

    早速検索をして、こちらのサイトにたどり着きました。
    監督さん、主演の俳優さん、ハリウッドや日本で見かけるような映画人でない筋の入った2人の話に深く感銘を受けました。
    ほんの一部のシーンを公開していましたが、重みのある画面に惹きつけられました。
    戦争の残酷さや、人間のなかにある非情な面と同時に、より人間的な面を追求したこの映画はたくさんの人にぜひ観ていただきたいと思いました。

    最近の技術に頼った大掛かりな映画よりも、中身の深い人間性を凝視した映画がより多く製作されるのを願っています。

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    Hideko 1月 7, 2016 (1:06 pm)

    大湾節子様
    はじめまして、FinoMagazin編集部です。ネメシュ監督の記事にロス・アンジェルスからはるばるコメントをお寄せいただきましたこと、大変嬉しいです。誠にありがとうございます。ハンガリー国内(特にブダペスト)では、実はハリウッド作品をはじめ、日本からも実に多くの映画のロケが頻繁に行われています。映画と縁の深いこの国から、(もちろん日本もですが)大湾様がおっしゃる通り、中身の深い人間性に焦点を当てた素晴らしいドラマを作る映画製作者(担い手の方々)が、ますます増えていくことを願っています。

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