静かに流れる時間(とき)の中で茶の湯を体験


「おもてなしの心を学ぶ」と言えば、やはり茶道を思いつかれる方は多いのではないでしょうか。
今回、海外でも茶会を何度か開かれハンガリーにも訪問したことのある表千家 遊々会・松本宗紅(まつもとそうこう)先生の下、お教室の生徒さんたちに混じり茶の湯を体験させていただきました。

まるでエンターテインメントのような、美しい所作に心打たれる

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絵を観るような所作を堪能

筆者は今まで何度か茶道を学んだ経験があります。

小学生にあがる前と学生時代に茶道を学びたくて、それぞれ数回習うも厳しさと覚えるお手前の多さで、その先は断念してしまいました。
そこから数十年ぶりのお茶の席は当初かなり緊張しましたが、茶室に入ると不思議とリラックスして気持ちが整ってきたのです。

茶室には気持ちを落ち着かせる目に見えない何かがあるようで、優しい空気に包まれました。

そして何よりもまず目を奪われたのが、その所作の美しさです。

動作ひとつひとつに一定のリズムがあるような、とても心地よい“動”と“静”の所作。

10代に茶道を習ったときはそのお作法を覚えることに精一杯で、その所作の美しさに感動するほど心の余裕を持ち合わせていなかったのでしょう。

こんなにも茶道の所作は美しいものだったのかと、茶道を習い事として続けるのを断念したことが悔やまれました。
茶道体験を終えた後、松本先生に少しお話を伺いました。

Q:初めて海外で茶会を開かれた時、現地の人々の反応はいかがでしたか?

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美しい立ち振る舞いがを見についけるには日常から意識を


A. 最初は、茶会を開く訪問団の一員としてパリへ行きました。

当時、デパートでお茶会を開いた時のことです。

片手にタバコを持ち、もう片方の手でお菓子を持ってお茶を飲むフランス人の姿に、私はとても衝撃を覚え、次からは事前にきちんと説明しなければならないことを痛感しました。

また、お茶が苦いとお砂糖を入れたり、飲めないと言われたことも。

そんな時は、お抹茶をいただく前にお菓子をすべて食べ、いかにお茶が健康かということを説明します。

そうすると皆さん、飲むんですよ(笑)きっと健康になりたいんですね。
私の実年齢と病歴のお話しをすると、お抹茶でそんなに健康で若々しくいられるんだったらと、皆さん実感されるようです。

それに、安物のお茶は苦いんですよ。
お値段が高いお茶というのは、やっぱり美味しいんです。
質問コーナーで私は皆さんにお抹茶を飲んだことがある人と聞くと、ほとんどの人は手が挙がりません。

しかし、“飲んだ後はどこへ行ったら買えるの?売って欲しい”と言われることもあります。

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お湯を入れて茶碗をゆっくりと回し温めています。


Q:道具がなくても点てられますか?


A. 茶せんがあればできます。

茶碗はボールでも良いですし、茶杓はスプーンでも代用できますが、やはり、茶せんがないと点てられないので、それは必要です。
そして、お菓子を作るときに小麦粉を振るうように、お抹茶も点てる前に振るわないと綺麗なお茶が点たないので振るうことはとても大事です。

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指の先まで美しく

Q:お抹茶を点てるのは難しいですか?


A.すぐにできます。

先日海外の方がこちらの教室にいらしたときも実際点ててもらいました。
皆さん興味しんしんですよ、点てたい方が多いんですね。

3月に南アフリカのケープタウンに行くので、そのときもお茶碗、茶せん、茶杓とポットを置いて実際点ててもらう予定です。
ただお水は大切で、どうしても海外では硬質のお水になることが多いのでとんがった味になります。
またお湯を沸かすのにガスか電熱器かでも違います。


2月28日、千利休が切腹をした日

主君の逆鱗に触れた者や、不始末の責任を取るのに死をもって償いを求められた者。

日本が封建時代であった頃、『武士』のみに許された最期の瞬間、それが『切腹』でした。

戦国の世を制し、天下人となった豊臣秀吉。

天正19年2月28日(1591年4月21日)、秀吉は茶人であり文化人である『千利休』に切腹を命じます。

筆者は最近、「利休にたずねよ」と「利休」という2本の映画を観ましたが、それらの映画で共通して描かれていたのは、『秀吉が千利休に対し強烈な嫉妬心を持っていた』こと。
秀吉にとって「茶」は「ステータス」、利休にとって「茶」は「心」とまったく別次元で捉え、『茶の道』に対する2人の価値観は相容れないものだったのです。

松本先生曰く、

『利休さんはレオナルド・ダヴィンチのように感性が素晴らしい人。

例えば、“にじり口やひとつのお茶碗でお茶を飲みまわす”ということを考えるなんて画期的だと思うのです。

茶室にいる人は誰も敵とか嫉妬とかそういったものはなく、全員が皆、自由、平等、お手前さんもお客さんも互いに思いやりながらここにいる、とそういうのを作り出した人なんです。

現代に利休さんが生きていたらどんなことを考えるんだろうなと思うとすっごく楽しくなります』。

とおっしゃっていました。

人々からの人望が厚かった千利休。

彼が持ち続けた茶の道への信念やその心は、当時、身分制度が強くあった時代背景からすると、あまりにも時代を先取りしすぎて、秀吉にとって利休の存在は脅威だったのかもしれません。

茶室にはあるものすべてが、客人を迎えるためのおもてなしの心を表現

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日本の美意識が詰まった茶道

あまりにも奥が深い茶の道は、この数時間でそのすべてを体得することは無論できませんし、松本先生にお話を伺ったからと、全てが分かるものでもありません。
掛け軸、季節のお花、茶碗、茶器。

その他、どれひとつとっても、客人をもてなすための大事な演出道具など。

茶道具をひとつひとつ選ぶその間にも、さまざまな思いを巡らし、会得・体得するまでには時間を要します。

道を究めることは、どの分野でもそうですが、一朝一夕にはいかないですよね。

松本先生は、

『幹を習えばそんなに難しいことはないですよ、お茶は楽しんで飲むことも大切です』

とおっしゃっていました。

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松本宗紅先生(まつもとそうこう)

お話は尽きることなく、まだまだ教えていただきたいことがたくさん!

気がついたらあっという間に時間が過ぎてしまいました。

松本先生が3月にご訪問される『ケープタウン』のことも、その後、先生とお会いし、お話を伺うことができれば、その内容をまた、フィノマガジンの読者の皆様に引き続き、お伝えしたいと思います。

本来、『茶道』とは、日本人が持つ美意識を呼び覚ましてくれるもの。

心の落ち着きも得られる奥深い『茶の道』を、皆様もぜひ、体験なさってみてはいかがでしょうか?

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先生が作られたお庭

東京の品川と神奈川の横須賀で、茶道教室をされている松本宗紅先生。

小さい頃は大工さんになりたかったというほど、松本先生は家の物作りがお好きでいらっしゃるとのこと。

こちらの美しい日本庭園は、なんと先生ご自身で作られたそうですよ!


 

茶道教室 品川駅前 表千家 遊々会
 住所:東京都港区高輪3-25-27-1407
 TEL:03-3447-5397
横須賀教室
 住所:神奈川県横須賀市根岸2-13-9
 TEL:046-833-8633

 


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神奈川在住、子供なしです。主人とうさぎと一緒に暮らしています。最近やたらと健康食にこだわりが。 10年かけて少しずつ太って気がついたときには・・・・。ファスティング・断食で10数キロ減量に成功。 なぜか日本に目覚め、日本文化、日本語、日本食を独学で勉強中です。

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