映画『グランドフィナーレ』を観ると、人生のきらめきに気づく!


みなさん、こんにちは。フリーアナウンサーの石田芳恵です。

大型連休を終えて、新年度の慌ただしさから一息ついた頃。
少し気が緩んで、「もう疲れちゃった」という、弱音が出てしまう日もあるかもしれません。
そんな時にこそ、映画で心の緊張を解きほぐしてみませんか?

4/16から公開中の映画『グランドフィナーレ』は、疲れたハートに優しく沁み入ります。

そして心が温まるだけではなく、しっかりと喝も入れてもらえるのがこの映画。
知的なセリフも多く、自立した人生を歩めるヒントが盛りだくさんです。

 

舞台はアルプスの古いホテル。訪れるのはバカンスのセレブたち

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画像出典元:『グランドフィナーレ』

 

物語の舞台は、雄大なアルプスのふもとにある古い高級ホテル。
このホテルで、主人公である作曲家のほか、映画監督やスター俳優、元サッカー選手などが優雅に休暇を過ごしています。

(ちなみにこのホテルは、実際にトーマス・マンが傑作『魔の山』を書いた場所だそうです)

 

主人公は、引退した音楽家

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画像出典元:『グランドフィナーレ』

 

主人公は世界的に有名なイギリスの作曲家で、オーケストラ指揮者。

彼は「もう音楽には未練はない」と言って、引退してバカンスを過ごしています。

イギリス女王から出演の依頼が舞い込んできても、頑なに断り続ける主人公。
本来ならば大変名誉なことですが、なぜ彼は表舞台に出てこようとしないのでしょうか?

その謎解きが物語を通して明らかになるなか、ホテルの人間模様にクスリと笑ったり、哲学的なセリフにドキッとしたり。
美しい映像と音楽を背景に、謎が徐々に明らかになってきます。

 

クラシック・ファン必聴!本編を彩る名曲の数々にも注目

画像出典元:『グランドフィナーレ』© GAGA Corporation. All Right Reserved.

画像出典元:『グランドフィナーレ』© GAGA Corporation. All Right Reserved.

01 The Retrosettes Sister Band: “You Got the Love”
02 Mark Kozelek: “Onward”
03 Sun Kil Moon: “Third and Seneca”
04 Des pas sur la neige –Preludes (Book 1): ClaudeDebussy
05 SaverioMercadante: Cavatina ‘Figlia ti scuoti’ from“Viginia Act I”
06 Maria Letizia Gorga: “A ma manière”
07 The Retrosettes Sister Band: “Reality”
08 Paloma Faith: “Can’t Rely on You”
09 Mark Kozelek: “Ceiling Gazing”
10 David Byrne: “Dirty Hair”
11 Igor Stravinsky : “Berceuse From’The Firebird”
12 David Lang / Trio Medieval: “Just (After Song of Songs)”
13 Sumi Jo(Soprano) and Viktoria Mullova(Violin Solo)Simple Song#3
14 David Lang: “Mick’s Dream”
15 David Lang: ” Wood Symphony”


圧倒的な歌唱力のスミ・ジョーの歌もみどころ

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画像出典元:スミ・ジョー (SUMI JO)|チケットぴあ

 

映画の中で、何度も作曲家が「あの曲はもう指揮しない」と言っている「シンプフ・ソング」という曲。
ホテルの中で小さな坊やが、ヴァイオリンの練習曲として弾いているシーンもありますから、どうやら世界的に有名な曲、という設定のようです。

いったいどんな曲なのか、というのもこの映画のミステリーのひとつとなっています。
そして最後には、カラヤンから絶賛された歌手のスミ・ジョーが、BBCオーケストラをバックにこの「シンプル・ソング」を歌っています。
この歌にまつわる謎が明らかになってから、やっと聴ける「シンプル・ソング」は圧巻です。

劇中では、ストラヴィンスキーやドビュッシーなどのクラシックのほか、パロマ・フェイス(本人役で出演!)などのポップスも随所に散りばめられていているので、音楽好きの方は聴きどころも多いと思います。

 

人生は立ち止まるから歩き続けられる。下り坂でも、上り坂でも

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画像出典元『グランドフィナーレ』

登場人物は、成功者ばかりのようで、彼らは実際には喪失感や虚無感を抱えながらバカンスを過ごしています。
ヒット作があるゆえにイメージの固定化に苦しむ若い俳優、新作が世間に受け入れられる不安を抱える映画監督、肉体の衰えが明らかな元サッカー選手。
成功をしていても、不安を抱えたり、やる気を失ったり、評価を気にするあたりは、私たちと変わらないようです。

引退した作曲家は、ホテルでの生活音やアルプスの大自然の中での音が、彼の耳には「音楽」として聴こえていました。
音楽に未練はないといっても、かつて情熱を傾けたものに、身体や心が自然と反応してしまうものなのですね。

彼らはホテルで休みながら、世界的な成功や名声そのものよりも、成功に至るまでの努力や情熱を思い出し始めます。
一度、一生懸命になったものは、自分を癒し、再生し、そして奮い立たせてくれるものなのかもしれません。

人生が下り坂、と感じている年齢の方々や自信を失っている方々。
歳を重ねたからといって、諦めたり守りに入るのはまだまだ早いようですよ。

今までのたくさんの思い出の中には、情熱を傾けたり、必死に頑張ったりと、輝いていた「あの日」があるはずです。
思い出はただ懐かしむものなのではなく、あすへのエネルギーになってくれるもの。
勇気が出ないときがあっても、「あの日」のきらめきが、きっと背中を押してくれるはずです。

そして、人生が上り坂、という若い年齢の方々。
どんなことでも、たとえ結果が出なくとも、情熱をかたむけ必死になった経験は、いつか自分を支える力となります。

その努力は決して無駄にはなりませんから。
ベストを尽くしている姿そのものが、人生のきらめきなのです。

 

終盤登場する大女優・ジェーン・フォンダの言葉

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画像出典元:『グランドフィナーレ』 © GAGA Corporation. All Right Reserved.

この映画の原題は『YOUTH(若さ)』。
大女優役で登場するジェーン・フォンダのインタビューが、この映画をとてもよく表しています。

「常に情熱があって、自分の人生にエネルギーを傾けている人々には老いなどなくて、あるのは自分自身のみ」(パンフレットより引用)

人生の休憩は、自分の情熱のありかを探すための時間。
休んでも大丈夫です。
情熱を見つけるために迷子になったときは、映画や文学が道標になってくれるはず。
この映画『グランドフィナーレ』も、しっかりと背中を押してくれますよ。

みなさん、映画で素晴らしい人生を!


【映画情報】
『グランドフィナーレ』(原題『YOUTH』)
監督:パオロ・ソレンティーノ
出演:マイケル・ケイン ハーヴェイ・カイテル レイチェル・ワイズ
公開:2016年日本 2015年イタリア・フランス・スイス・イギリス
時間:124分 ©GAGA Corporation. All Right Reserved.
公式HP:http://gaga.ne.jp/grandfinale/


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