映画『素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店』、突然の雨で人生が変わるかもしれない


こんにちは、フリーアナウンサーの石田芳恵です。
日本では雨の多い日がもう少し続きそうですね。
今回はオランダから、日本の梅雨とはまた異なる表情の雨のシーンが印象的な映画のご紹介です。

この映画の中では、小雨や突然の雨が、物語をドラマティックに演出しています。
まるでお天気が映画の影の主役のよう!
そんな『素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店』は、ブラックコメディのようでミステリーやアクション、ラブコメディの要素や尊厳死を考えるシリアスな深さもあり、なかなか見応えがありますよ。

 

死にたがりの大富豪、サプライズを申し込む

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(c)2015 SURPRISE FILMPRODUCTIE VOF / VARA / PRIME TIME/ RIVA FILM / FASTNET FILMS

主人公は、オランダの大富豪のヤーコブ。
天涯孤独で感情をなくし、人生を悲観しています。
巨額の資産を慈善団体へ寄付し、あとは死ぬだけと自殺を試みますが、常に邪魔が入りなかなか命を絶つことができません。

ある日、自殺にぴったりの断崖絶壁で、たまたまマッチ箱を拾ったことで、ヤーコブの人生が大きく動き出します。
マッチ箱に記されていたのはオランダのお隣の国・ベルギーのブリュッセルにある謎の「代理店」。

すぐにヤーコブは、オランダからブリュッセルの店へ、車で向かいます(この行動ができるのはEUならではですね)。
その店は事故に見せかけて自殺をほう助するサービスを提供していました。

タイトルにある「ブリュッセルの奇妙な代理店」とは、「あの世への“旅立ち”の手助けをする」店だったのです。

 

今すぐ逝きたい?それとも、生きたい?

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(c)2015 SURPRISE FILMPRODUCTIE VOF / VARA / PRIME TIME/ RIVA FILM / FASTNET FILMS

ヤーコブは早速その代理店で、どんな死に方になるかわからない、おまかせの「サプライズコース」を申し込みます。
しかしその直後、同じコースを申し込んだ女性・アンネと運命的な出逢いをしてしまいました。

チャーミングなアンネとの出逢いから、今まで感情を失っていたヤーコブに、感情の起伏が生まれてくるのです。
彼の心境の変化に、私たちは喜怒哀楽こそ人生だと感じさせられるでしょう。
そして死を意識するからこそ、今を精一杯生きようと思えるのかもしれません。

 

小雨や突然の雨、傘や水たまりが映画を動かす

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映画の中にはたくさんの雨のシーンが出てきます。
ブラックユーモアいっぱいの映画に躍動感とオシャレさを与えているのは、オランダやベルギーのお天気。

このエリアは、日本の北海道よりも北に位置していますが、北海道のような寒さはなく穏やかな気候です。
特にオランダは天気が変わりやすい国で、一日中雨が降り続くことはなくても、一日のうちに頻繁に小雨が降るそうです。

 

心の動かない主人公と、物語を動かすお天気

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自殺しようと断崖絶壁に車で向かうヤーコブですが、そこで目撃する衝撃的なシーンに、天気が印象的な役割を果たしています。
ヤーコブの車の前に霊柩車が現れ、運転手の男と老人が崖の向こうに行きますが、天気は小雨から突然、嵐のような大雨に。

一瞬、視界が不明瞭になったあと、サッと雨が上がって、ヤーコブが見るのは崖から戻ってきた運転手。
車いすは空・・・。

雨が上がると老人が消えているようすは、ヤーコブと私たちに自殺ほう助を想像させます。
また、ヤーコブとアンネの心が近づくシーンでは、激しく雨に濡れるアンネがなんとも魅力的。
彼女の豊かな感情を雨が代弁しているかのようでした。

天涯孤独で喜怒哀楽を忘れたヤーコブとは対照的に、映画の中では天気がくるくると変わり、物語を進めていきます。

 

マニア必見の高級車がずらり!

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(c)2015 SURPRISE FILMPRODUCTIE VOF / VARA / PRIME TIME/ RIVA FILM / FASTNET FILMS

ヤーコブが乗っているのは、ポルシェ356・スピードスター。
大富豪・ヤーコブは、マニア垂涎の名車をたくさん所有していて、映画の中にはおしゃれな高級車がたくさん登場します。

《映画に登場する車》
メルセデス・ベンツ・Sクラス、キャデラック・DTS、レンジローバー・ヴォーグ、
ジャガーEタイプ、ジャガーFタイプ、ジャガーXFブラック
ファセル・ヴェガ・HK500、ACコブラ427、シトロエン・メアリ

 

尊厳死を認めているオランダ、多国籍なベルギー

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(c)2015 SURPRISE FILMPRODUCTIE VOF / VARA / PRIME TIME/ RIVA FILM / FASTNET FILMS

ところで、オランダは医師による安楽死が合法化されている国。
この映画の原作本を執筆したのは、元医師のオランダ人作家・ベルカンポです。
尊厳死や安楽死は、日本のみならず、世界中で今後ますます議論されることでしょう。

そしてベルギーは、小さい国ながらも多国籍な国。
劇中にはオランダ語、英語、ヒンディー語、フランス語が登場します。
文化も宗教も言語も多様なブリュッセルなら、もしかしたらこんな代理店があるかも?と思ってしまいます。
ぜひ、字幕の工夫も観ながら映画を楽しんでみてくださいね。

私たちの命は永遠ではなく、いつか死を迎えます。
きょうが最後と思って過ごすと、ヤーコブのように人生の優先順位が明確になって、視界がカラフルになるかもしれません。

皆さん、映画で素晴らしい人生を!

 

【映画情報】
『素敵なサプライズ ブリュッセルの奇妙な代理店』(原題『De Surprise』)
監督:マイケ・ファン・ディム
出演:イェルン・ファン・コーニンスブルッヘ ジョルジナ・フェルバーン
製作国:オランダ(2015年)
公開:2016年5月28日から新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町他にて絶賛公開中!全国順次公開予定
時間:105分
オフィシャルサイト:http://sutekinasurprise.jp//


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