期待の高い小池新都知事、「百合子マジック」は続くのか?


まだまだ真夏の暑さが続く東京。
7月31日に行われた都知事選挙は東京都民だけでなく、国内外が注目した熱い選挙となりました。
東京の新しいリーダーとなったのは小池百合子氏。
8月6日・7日にJNNが行った世論調査では、小池氏に「期待する」と答えた人は76%で、「期待しない」の15%を大きく上回りました。

選挙戦の勝因と都民の高い期待の背景を「4つの百合子マジック」という観点から、報道フロアで選挙戦を見守ったフリーアナウンサーの石田芳恵が分析していきます。

 

初めての女性都知事の誕生

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“画像出典元:The Huffington Post「小池百合子氏が当選 増田氏、鳥越氏ら抑え初の女性都知事に」より

舛添前知事の辞職に伴う東京都知事選挙は7月31日に投票が行われ、無所属の新人の小池百合子氏が初めての当選を果たしました。
2位の増田氏に100万票の差をつけた291万票を獲得して、まさに小池氏の圧勝。

しかし、当初の報道では決して小池氏の一人勝ちは予想されていませんでした。
むしろ日に日に支持率を上げていった印象です。
小池氏は無党派層だけでなく、自民党など支持政党のある人たちも取り込んで幅広い支持を集めたのです。

 

小池氏圧勝のワケ

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画像出典元:イザ!ニュースまとめ「小池氏当選あいさつ詳報 ゴーヤにブロッコリーも登場した“緑の選挙戦”」より

小池氏が支持を集めたポイントは、他の立候補者よりも意識が「都民へ向いていた」という点。
これが日を追うごとに都民に伝わったことにありそうです。

テレビで観ない日はないほどの毎日の話題作り、敵を作って利用するうまさ、状況に応じたユーモアのある演説など、終始、小池氏のペースで選挙戦が進んでいきました。

この選挙で見せた小池氏の鮮やかな手腕には、「4つの百合子マジック」があったのです。

 

百合子マジックその1「参加したくなるワクワク感とユーモア」

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画像出典元:THE PAGE「小池百合子氏が第一声  組織、しがらみ越えてまい進する」 より

百合子マジックの根幹は「参加しやすい舞台作り」に長けていたことにありました。

唐突ですが、地方出身者の私が上京して驚いたことは、東京都民はお祭り好きな人が多いということ。
都民は根っからの江戸っ子だけでなく、多くが地方から上京してきた人たちで構成されています。
地方出身者は何か拠り所や一体感を本能的に求めているのか、老若男女問わず流行にも敏感でノリの良い人が多く、反応も早い。
都内の花火大会や盆踊りはいつも盛り上がっています。

まさに「都知事選挙」を今年の夏祭りにしたのが小池氏でした。

これまでの選挙は、怒りを表現したり、不安を煽ったり、また情に訴えて悲愴感を漂わせるなど、立候補者の多くはネガティブな共感を求めていました。
しかし、小池氏は常に笑顔でポジティブ。
増田氏を擁立した自民党都連のやることなすことが旧態依然として見えたのも、鳥越陣営の口撃が品性なく感じられたのも、小池氏が正面から反発せずにサラリと交わしたからと言えそうです。

まさに小池氏の選挙運動や演説は、ユーモアと余裕、清々しいまでの軽やかさがあり、そこには都民が参加したくなる「ワクワク感」にあふれていました。

 

百合子マジックその2 「都民参加型をグリーンで“見える化”した」

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画像出典元:小池百合子@ecoyuri 公式twitter

「何か緑のものを身につけるか持ってきて演説を聞きに来てください」とSNSなどで訴えた『ゆりこグリーン作戦』。
これはメディアの見栄えだけなく、都民に参加を促す非常に面白い仕組みでした。

緑のTシャツやスカーフといったものだけでなく、ゴーヤを手にしている人がいたり、散歩中のワンちゃんが緑のバンダナを付けていたり。
お祭り好きで、人と同じであることよりも個性を重んじ、ちょっと目立ちたい都民の特性にぴったりの作戦でした。

決してこの『ゆりこグリーン作戦』そのものが勝因というわけではありませんが、選挙が政党主導ではなく「誰でも参加できるもの」ということを“見える化”したことは、都民に大きな期待をもたせました。

「選挙運動にこんなにワクワクしながら参加できるのなら、きっと都政もワクワクしながら参加できるのではないか?」。

まさに、都民主導の都政を視覚でイメージさせることに成功していたのです。

 

百合子マジックその3「勝因となった本気度・覚悟」

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画像出典元:ログミー「残業ゼロ、満員電車ゼロを目指す 小池百合子氏が掲げる“東京大改革宣言”」より

そして、重要なことは都民が小池氏の「本気度」を買ったという点です。
「推薦がなくても行くわよ!」という姿勢は最初からブレておらず、組織と戦う構図を見せました。
政党という組織から飛び出してでもチャレンジする小池氏の姿勢。
その気概が都民に伝わったと言えるでしょう。

組織というしがらみがない身軽さゆえ、主張する政策や演説には小池氏本人の思想・キャラクターが実にイキイキと魅力的に反映されていました。

「喧嘩上等、負ける気がしない」という気迫さえも伝わってきました。
恫喝がきかない、開き直った相手ほど怖いものはありません。
ここに強いリーダーシップを感じた人も多かったことでしょう。

この小池氏の「本気度」・「覚悟」に押され、有力候補者の増田氏・鳥越氏が日に日に失速していったように感じます。

 

百合子マジックその4 「おじさん文化に風穴を開けた実績」

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画像出典元:産経ニュース「早くも平成29年度予算の見積方針を指示 都民ファーストが都政に向かう姿勢のキーワード」より

ところで、小池氏といえば「クールビズ」。
2005年に小泉政権下で当時環境大臣だった小池氏が提唱しました。
小池大臣のアピールのうまさからか、小泉首相をはじめ、経済界のトップも続々とネクタイをはずしました。
あれから11年たち、クールビズはすっか定着して私たちの生活の一部となっていますよね。

クールビズの定着は、私たちにとってとてもわかりやすい身近な小池氏の実績です。
この実績は、小池氏が古い慣習や既存のシステムを打破できる実力を兼ね備えていると理解するには十分のものでした。

今回は真夏の選挙戦、まさにクールビズの季節の選挙戦です。
従来の“おじさんのやせ我慢”的な慣習を打破したアイデアや実行力を、東京都政にも見せてもらいたいと都民が感じたのかもしれません。

 

「百合子マジック」で東京大改革は「見たことのない都政」となるか?

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画像出典元:産経ニュース「早くも平成29年度予算の見積方針を指示 都民ファーストが都政に向かう姿勢のキーワード」より

【百合子マジック】
(1) 参加したくなるワクワク感とユーモア
(2) 都民参加の“見える化”
(3) 終始ブレない本気度
(4) おじさん文化への風穴

7月31日の夜8時、投票締め切り直後、開票速報ですぐに当確が出た小池氏。
その日のインタビューで、「見たことのない都政をお見せする」という言葉が出てきたときは、私のいた報道フロアからはどよめきがあがりました。

選挙から一週間後のJNN世論調査では、新都知事に7割超が期待を寄せているということです。
日差しが眩しい8月の東京の街は、これからどんな驚きやワクワクをもたらせてくれるのかという期待にあふれています。
小池新都知事は、これから多くの改革を行い困難も伴うでしょうが、きっとその過程も「百合子マジック」で軽やかに都民を巻き込んでいくことでしょう。

 

ネット文化の浸透により、政治は「劇場型」から「参加型」へ

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画像出典元:産経ニュース「小池百合子氏就任で副知事人事に注目 出方次第で“火種” 過去に否決も」より

そして今回はネットやSNSを力を大いに実感した選挙でもありました。

都知事選では、テレビや新聞など既存メディアの枠を超えて、SNSの猪瀬直樹元知事や若狭勝議員が発信する情報を有権者が拡散していったことも、小池陣営の追い風となりました。

自民党都連のドンの存在や都連内の締め付けなどは、SNSだからこそ明らかにされ広まった事実と言えるでしょう。

結果として、無党派層のみならず、支持政党がある人たちからも小池氏に票が流れ、小池氏圧勝となりました。

無党派層とインターネットが親和性がある点は、以前から指摘されていましたが、都市部に多いと言われている無党派層を、小池陣営は「百合子マジック」で確実に取り込んでいったのです。

これまで受動的に、各社のフィルターを通したメディア情報を受け取ってきた有権者が、ここ数年の間で能動的に情報を収集し、自分の意志で情報を判断していくようになったのです。

今回の選挙は、受動的な「劇場型」から能動的な「参加型」への転換期だったことを、「百合子マジック」を通じて私たちはダイナミックに感じることとなりました。
そういう意味でも小池新都知事は、都民が自ら選んだ都知事とも言えるでしょう。

東京都は、4年度のオリンピック・パラリンピックや待機児童問題など課題は山積。
東京の改革は、国全体や海外にも大きな影響を与えることとなるでしょう。
私たちは厳しい目をもちつつも、「ワクワク」と期待しながら、そして参加しながら、自ら情報を取捨選択しながら、小池氏のこれからの手腕を見守っていきたいものです。


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