寿司だけじゃない!ハンガリーでうける日本の味

海を越えてますます広がる和食ブーム。
海外在住日本人であれば、一度は現地のお友達に日本料理を振舞ったことがあるのではないでしょうか。
中でも知名度が高い「SUSHI (寿司)」は、王道の一品ですよね。

しかし、いくら具材を変えても寿司ばかりでは、お料理メニューもマンネリ化してきます。
かといって、どんな和食が現地の人の口に合うのかわからず、結局同じものを繰り返しだしてしまったなんてこともしばしば。

今回は、寿司だけじゃない!ハンガリーでうける和食と世界でブームな ○○○ がハンガリー人にうけていない?!リアルな現地事情をお届けします!


ハンガリーで和食は本当に人気?!

©2016FinoMagazin

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ハンガリーの人々は、普段から自宅に友人を招待するのが好き。
新学期や新年度が始まる9月は、学校や職場の新しい仲間を歓迎するホームパーティーが増える時期でもあります。
こちらのホームパーティーでは、参加者各自が食べ物や飲み物を分担して持ち寄るのが一般的。

ハンガリーでも他の欧米諸国同様に、和食人気は高まっているため、日本人の筆者は和食の代名詞ともいえる「SUSHI (寿司)」を作ってほしいというリクエストを受けることが多いです。
しかし、7 つの国に囲まれた内陸国ハンガリーでは、海魚を食べる機会は少なく、生の魚を苦手とする方もちらほら。
また寿司に使う “ 海苔 ” の匂いがちょっと…といって、海苔を外して食べる人も少なくないんです。

和食がユネスコ無形文化遺産に登録されて以降、海外でますます加速する和食ブーム。
ハンガリーも例外ではありません。
けれども、国が違えば嗜好も違い諸外国では人気なのにハンガリーで流行っていないものがあるのも事実。

では、ハンガリー人にうける和食とは何でしょうか?
筆者が得た現地のリアルな感想をもとに、ハンガリーで喜ばれる和食 TOP3 をご紹介していきます♪


ハンガリーで万人受けする日本食 NO.1 枝豆

©2016FinoMagazin

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ハンガリーでは昔から、豆を使った料理は好まれています。
例えば、Jókai bableves ( ヨーカイ・バブレヴェシュ/日本語訳:ヨーカイ豆スープ)※1 は、豆をふんだんに使ったスープ。

豆を食べる習慣が根付いているハンガリーで大好評なのが、日本で食べるより少し塩気をきかせた枝豆なんです!
新鮮な枝豆はなかなか手に入りませんが、冷凍枝豆はアジア食材店で簡単に入手できます。

さらに2011年から施行されているハンガリーのユニークな税金、“ 国民健康製品税 (通称:ポテトチップス税) ” ※2 の影響もあり、ハンガリーでも健康志向が高まっています。
欧米諸国では、動物性油を使ったジャンクフードをおつまみとして食べることが多いため、お酒と一緒に枝豆を出すと美味しいのに、ヘルシーで低カロリーと男女問わず大人気!

ホームパーティーで、枝豆を出すとあっという間になくなってしまうほどなんですよ。

※1 ハンガリートリビア情報
Bableves は、BabとLevesが合わさってできた言葉。ハンガリー語でBab(バブ)は豆、Leves(レヴェシュ)はスープを意味します。19世紀のハンガリーを代表する小説家ヨーカイ・モールがこの豆スープを好んで食したことから、ヨーカイ豆スープと名付けられたといわれています。ハンガリーを代表する伝統料理 “ Gulyás ( グヤーシュ ) ” 。パプリカベースのスープで日本人にも好まれていますが、濃い味がお好きな方は、燻製豚で煮込むヨーカイ・バブレヴェシュの方が食べごたえがあってお口に合うようです。
※2 ハンガリートリビア情報
通称ポテトチップス税とは、塩分、糖分、カフェイン等の含有量が高く、大量摂取すると健康に害を及ぼし得る食品、飲料品に対して課される税金です。食品群により課税額は異なり、毎年対象品目が増加中。例えば、ポテトチップスの場合、製造者は、1キロあたり250HUF(約100円)の納税義務を負います。それに伴い、各対象品目のお値段もアップしました。

ボリュームたっぷり!ハンガリーでうける日本食 NO.2 お好み焼き

©flickr Masafumi Iwai title: お好み焼き(3)

©flickr / Masafumi Iwai title: お好み焼き(3)

大阪出身の筆者が、よくホームパーティーで出す料理の一つが “ お好み焼き ”。
キャベツが安いので、大人数で食べても材料費を抑えられるという理由で作り始めたのですが、これが大ウケ!!
ハンガリーには、まだお好み焼き専門店はありませんが、今フランスの首都パリでは、“ お好み焼きブーム ” を呼んでいるほどなんだとか。

大阪のソウルフード “ たこ焼き ” は、たこを食べ慣れていないハンガリーの人々に少々嫌厭される傾向があります。
その点、お好み焼きのベースとなるキャベツは、ハンガリーの食卓にも並ぶことが多い食材。
例えば、Töltött káposzta ( トゥルトゥット・カーポスタ )※3 と呼ばれるハンガリー風ロールキャベツは、現在でも一般家庭で作られるハンガリーの伝統料理です。

また、油の使用を控え、キャベツをたくさん使いカロリーを抑えたお好み焼きは美意識の高いハンガリーの女の子たちに人気です。

ヨーロッパでの和食ブームが後押しし、流行りつつあるお好み焼き。
ハンガリーでは、まだまだ知られていませんが、お好み焼きは、ハンガリー人の口に合うようですよ。

※3 ハンガリートリビア情報
トゥルトゥット・カーポスタは、香辛料と豚のひき肉、米などをザワークラウトに包み、粉パプリカで煮込んだハンガリー風のロールキャベツ。古くから「ハンガリーの盾の紋章」と言われるキャベツと肉を組み合わせた料理は、現在でも国民の中で広く食されています。

老若男女にうける日本食 NO.3 カレーライス

©2016FinoMagazin

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ハンガリーでもカレーと言えば、“ インド ” のイメージが定着しているのですが、ここ数年で人気があがっているのがタイカレー。
インドカレーやタイカレーと比較するとまだまだ認知度は低いものの、コアなファンを集め始めているのが、日本のカレーライスなんです!!
日本のカレーは、お肉や野菜がたっぷり入っていて、インドやタイカレーにはないまろやかな味が楽しめるのだそう。

ハンガリーの主食はパンやジャガイモといわれていますが、現地で生活する中で気づいたのは、“ ハンガリー人は意外と米を食べる ” 習慣があるということ。
先ほど紹介した、ハンガリー風ロールキャベツの中にも米を使っています。

数十年前と比べて、日本人の米消費量は減っているといわれていますが、米中心の食文化で育った日本人にとって海外生活で身近に米があるというのは嬉しいものです。
日本の米は、柔らかくて甘みがあり美味しいと定評はありますが、ハンガリーではまだ一般に普及しているわけではありません。

では、カレーライスの “ ライス ” の調達はどうすればいいの?と疑問に思われた読者の皆様、ご安心ください。
ブダペストにある普通のスーパーマーケットでは、様々なお米が売られていて、日本の米にわりと近いものも買うことができます。
最近では、日本産米もブダペストで購入できるようになりました。※4

ハンガリーでは日本のカレーライスを知らない人が多いので、ホームパーティーでカレーライスを作れば、驚きとともに、きっと喜んでもらえますよ♪


※4 ハンガリートリビア情報
 首都ブダペストで日本産米を買えるお店:8és8
 店舗1 住所:1124Budapest, Fürj u. 2 / 開店時間: 6時-22時
     電話:+36 / 30 400 3888
 店舗2 住所:1118 Budapest, Somlói u. 3 / 開店時間: 12時-24時
     電話:+36 / 30 210 0888

ハンガリーでも不動の定番トッピング

©2016FinoMagazin

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カラアゲニスト※5 という言葉が生まれるほど、日本で一大ブームを巻き起こしている “ 唐揚げ ”。
シーフードよりも肉を食べるハンガリーでは、エビフライより鶏の唐揚げがうけるんです。
また、お隣の国オーストリアの肉料理 Wiener Schnitzel(ヴィーナー・シュニッツェル:ウィーン風カツレツ)に似た、豚カツも好まれています。

カレーライスでおもてなしする際は、お肉系のトッピングも用意しておくとバッチリですよ♪

※5 ニッポントリビア情報
カラアゲ二ストとは、唐揚げをこよなく愛する人のこと。日本唐揚げ協会が主催する「唐揚検定試験」なるものまであり、合格するとカラアゲ二ストに認定されるそう。

日本食ブームなのに、ハンガリーでSAKEは流行らない!?

©flickr / Cleber Mori title: Sake

©flickr / Cleber Mori title: Sake

ここ10年で、海外輸出額は3倍近くに膨らんでいる日本酒。
食通のアメリカのニューヨーカーやフランスのパリっ子たちをも魅了する日本酒は、世界中で “ SAKE (さけ) ”の愛称で親しまれています。

ハンガリーでも “ SUSHI (すし) ” と並んで “ SAKE ” の知名度は高いです。
しかし、ハンガリーでは、他の欧米諸国に比べると “ SAKEが好き ” という方は少ないのが現状。
さて、どうしてなのでしょうか?

現地事情を探るべく、SAKEを知っていても飲んだことがない方、SAKEを飲んだことがある方たちにお話を伺ってみることに。
すると、ハンガリーでまだ日本酒が受け入れられていない2つの理由が見えてきました。

【理由1】SAKEは値段が高いから

こちらは主に、まだ日本酒を飲んだことがない方々の意見です。
ヨーロッパの中でもショックなほどに、お給料事情は、最下位にほど近いハンガリー。
平均年収が100万円に満たないハンガリー人にとって、日本価格の日本酒は高級品なのです。

また、“ 日本のものは値段が高い ” というイメージが先行している傾向があり、飲んでみたいけれど買って試す余裕はないと言う方もいました。
しかし、“ (値段が)高い ” と言いつつも、実際は、日本酒の価格を知らないということもわかってきました。
日本食レストラン以外で日本酒が売られているのを見たことがない人たちも多いようです。※5

※5  ハンガリートリビア情報
 日本から輸入されている銘柄日本酒取り扱い店

店名:Ázsia bt. / 月10:00-18:00,火―金08:00-18:30,土08:00-15:00
住所:1093 Budapest, Vámház krt 5 / 電話: +36 1 215 7148
店名:Szega market / 月-金09:00-20:00, 08:00-20:00
住所:1026 Budapest, Szilágyi Erzsébet fasor 121 / +36 70 383 5183
店名:Culinaris Üzlet III. kerület / +36 1 345 0780
住所:1036 Budapest, Perc u. 8 / 月-土09:00-20:00,日10:00-18:00
店名:Culinaris Üzlet V. kerület / +36 1 373 0028
住所:1055 Budapest, Balassi Bálint u. 7 / 月-土08:00-20:00
店名:8és8 ※本記事内に情報あり

【理由2】SAKEは酔うのに時間がかかるから

ハンガリーの酒といえば、“ Pálinka (パーリンカ) ”。
フィノマガジン読者の皆様は、パーリンカと呼ばれるお酒をご存知でしょうか?

パーリンカとは、プラムやアプリコット、チェリーなどの果物を漬け込んで造る蒸溜酒。
アルコール度数は、なんと40度を超えるものばかりなんです。
そんなパーリンカは、今日のハンガリーでも日常的に食前酒またはウエルカムドリンクとして飲まれています。

パーリンカ用のショットグラスに注いで、乾杯後、一気に飲み干すのがこのお酒の楽しみ方。
アルコール度数が高いパーリンカをくいっと飲むと、一瞬で体が熱くなりますが、ハンガリー人たちは平気な顔で何杯も飲むから驚きます。
お酒に強いハンガリー人(パーリンカを飲むからお酒に強くなった?)にとって、日本酒はアルコール度数が低いんだとか。

ハンガリー人の中にもアルコール度数が低めを好む方もいますが、大半は高めがお好き。
そのため、「お猪口につがれた量だけでは、お酒を飲んだ気分にならない」という意見もありました。
パーリンカと日本酒の楽しみ方は違うということを知らない点は、日本酒がハンガリーでまだ浸透しない原因の一つのようですね。

読者の皆様、この理由2の中でもう一つ、ハンガリーで SAKE が流行っていない要因に気づかれた方はいらっしゃいますか?

“ お猪口の量だけでは ” この部分、もう一度考えてみましょう。
ハンガリー人にとって味はもちろん大切ですが、肝心なのは “ お酒を飲んでいる気分を味わえる ” ということが、この一言から見えてきます。

海外の日本酒通の中には、日本酒をお猪口ではなく “ 高級ワイン ” のように飲む方が増えているそう。
ワイングラスでいただくと、日本酒独自の芳香や目で色合いを楽しむことができるというのです。
国が変われば、感性も変わるということですね。

強い果実の蒸留酒を好み、ワインの産地でもあるハンガリー。
今はまだハンガリーで和食ブームに追い付いていない日本酒ですが、これからこの異国の地でどう特色を出していくのか、今後が楽しみですね!


今回は、ハンガリーでうける和食と日本酒現地事情をお届けしましたが、いかがでしたか?
フィノマガジンでは、引き続き、ハンガリーでの暮らしに役立つアイデアやリアルな現地事情を発信していきますので、お楽しみに♪

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大阪生まれの大阪育ち。神戸大学で人間行動学を専攻。中学校・高等学校1種免許(保健体育)、小学校専修免許状を所持し、子どものスポーツ教育に従事。その後、ハンガリーへ渡りブダペスト メトロポリタン大学大学院でメディアコミュニケーション学を学ぶ。現在もブダペスト在住。FinoMagazinライターの傍ら、ロケーションコーディネーター、ウエディングフォトプランナーとしても活動中。ハンガリー情報はお任せあれ。英語、ドイツ語もOK!! 日本拳法で全国制覇の経験もあり、心身の強さには自信アリ。知力・体力を磨いて、世界の現場から日本の教育にアイデアを届けることをモットーに、様々な分野で執筆に励む。

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