馬術に秘められたハンガリーの歴史、そして現在


暑い夏も終わり、屋外スポーツを楽しめる季節がやってきました!
首都ブダペストでは、この季節、スポーツ熱が高まること必至のビックイベントが開催されます。

人々を熱くさせるそのスポーツの正体とは、人と動物である馬が一体となって行う「 馬術競技 」。
9世紀頃にアジア方面から伝わったとされ、遊牧騎馬民族マジャル人を祖先とされているハンガリー人にとって、馬術はこの国の歴史であり文化だとされているんです。

そんなハンガリーの伝統を現代にも繋げていこうと始まった Nemzeti Vágta ( ネムゼティ・ヴァーグタ:馬術の全国大会 )の模様をブダペストからレポートしていきます♪


スポーツの秋!ハンガリーでは馬術が熱い!

©2016日本ハンガリーメディアート

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2008 年開催以来、今年で第 9 回目を迎える「 Nemzeti Vágta (英語名: National Gallop 以下、ナショナル・ギャロップ ) 」は首都ブダペストで開催される馬術の全国大会です。
その会場となったのは、ハンガリー建国 1000 年を記念して造られた Hősök tere (英雄広場)。
歴代の国王や将軍など歴史上、ヒーローと謳われてきた人物の銅像が立ち並ぶブダペスト最大の広場です。

ハンガリーの歴史を物語る英雄広場には、国内各地の大会で選ばれた騎手たちが、新たな歴史を刻もうと意気込んでいます。
中には、大人顔負けのこども騎手たちの姿も。

今年のナショナル・ギャロップ開催期間は、あいにくのお天気だったにも関わらず、例年同様、優れた騎手たちの技を見ようと大勢の観衆が集まりました。
老若男女問わず大人気のスポーツ、それが「馬術」なんです。


キッズからシニアまで凛とした馬上姿がカッコイイ!

©2016FinoMagazin

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乗馬は年齢や性別問わず楽しめるスポーツとして、世界中で愛され続ける競技。
人馬一体となり、言葉を交わさずに馬と心を通わせる難しさ、奥深さからコミュニケーションスポーツとも言われています。
またスポーツとしてだけでなく馬との関わりは、医療・教育の観点からも注目されています。

馬はハンガリーの歴史や文化を語る中でも欠かせない存在。
人々の生活スタイルは当時から大きく変わりましたが、現代でも「馬」は大切にされている動物です。

ハンガリーの伝統を現代に繋げていこうと始まったのが本大会、ナショナル・ギャロップ。
古の誇りを受け継ぎ、馬に情熱を注ぐ人々がハンガリー全国各地から、この大会を目指して来ています。
大会では、こどもからシニアまで参加しハイレベルなレースだけでなく、国を代表する様々な馬術ショーもご覧になれますよ♪


魅せるスポーツ 華麗なるアクロバティック馬術

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©2016FinoMagazin Lovastorna ( ロヴァシュトルナ )

各地から集まった選りすぐりの選手たちによる馬術ショーは、どれもお見事!
全身を使うダイナミックさと馬の動きをコントロールする繊細さを要する馬術ですが、その中でも一際目を引く競技がありました。

その競技とは上写真の少女たちによる、美しくかつアクロバティックなパフォーマンス。
こちらは、乗馬と体操を組み合わせた Lovastorna ( ロヴァシュトルナ ) と呼ばれる競技です。
日本ではあまり見かけない競技ですが、ハンガリーでは盛んな魅せるスポーツの一つ。

馬の上でポーズを決めている選手たちは、なんと 10 代前半なんだそう。
迫力の中にある華麗さは、見ている人も楽しませてくれます。

ロヴァシュトルナをはじめ、警察官による馬術パフォーマンス等、大会では実に様々な馬術ショーが繰り広げられます。
全てご紹介したいところですが、次は世界でも類を見ないハンガリーの伝統芸のお届けです!


馬上で 5 頭の馬を立って操る圧巻の伝統技!!

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©2016FinoMagazin Puszta ötös ( プスタ・ウトシュ )

ハンガリー東部に位置する Hortobágy ( ホルトバージ )
そこには、プスタと呼ばれる大平原が広がり、その一部はホルトバージ国立公園として自然保護区域に指定されています。
2000 年以上にわたる牧畜生活の伝統、人と自然との調和は現代にも受け継がれ、その文化的景観は、1999 年に、「ホルトバージ国立公園」としてユネスコの世界遺産に登録されました。

ホルトバージは、ハンガリー人の祖先であるとされる遊牧騎馬民族が生活をしていた舞台。
今も尚、かつての遊牧騎馬民族の伝統が息づいた地域ならではの馬術が残されています。

その中で特に、迫力があるのは Puszta ötös ( プスタ・ウトシュ ) という名の上写真の技。
馬上で 5 頭の馬を立って操ることができる Csikós ( チコーシュ ) と呼ばれる人々はハンガリーでも数名しかおらず、古の技を現代に伝える貴重な存在なんです。

普段はホルトバージまで行かなければ見ることができない希少な技ですが、ナショナル・ギャロップ開催時は首都ブダペストで伝統技の迫力とスピード感を味わうことができますよ♪


ハンガリーで盛り上がる珍祭り!荷馬車ならぬ荷人車競争!

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©2016FinoMagazin Kocsitoló ( コチトロー )

人と馬とが強く結びついた生活を送ってきたハンガリー人。
なんとその強い結びつきが生み出した珍競技があるんです。

上写真が荷馬車の本体を使った珍競技。
その名は、 Kocsitoló ( コチトロー )
読者の皆様の中には、ナショナル・ギャロップだけの催し物だと思った方がいらっしゃるのでは?

このユニークな競技、ただの催し物ではありません。
歴としたコチトロー大会もある、正真正銘のスポーツ!
一見、荷車を押すだけのシンプルな競技に見えますが、チーム一丸となり息を合わせ助け合い、重い荷車を押してゴールを目指す熱い戦いなんです。

では、その真剣勝負の模様をVTRでご覧ください。

こちらの祭り、熱い気持ちと仲間がいれば、国籍関係なく誰でも参加できます!
日本からも Welcome! とのこと。( 荷車は持参の必要なしですのでご安心を。 )
優勝者は、特別な賞品がもらえるそうですよ。

ご興味のある方は、 Kocsitoló ( コチトロー )の Facebook ページで応募情報が掲載されていますので ( ハンガリー語記載しかありませんが)チェックしてみてくださいね。
主となる大会は毎年 7 月中旬に開催されていますので、ハンガリーでの夏の思い出作りにいかがですか。


ハンガリーが世界に誇る巨匠 カッシャイ・ラヨシュ

©2016FinoMagazin

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上写真の人物は、 Kassai Lajos ( カッシャイ・ラヨシュ)という名のハンガリー人。
日本ではあまり知られていませんが、国内では著名でハンガリーを代表するスーパースターなんです。

さてフィノマガジン読者の皆様、カッシャイさんは何で有名な方だと思いますか。
俳優でも歌手でもありません。
ヒントは「馬に関係するある競技」で、欧米メディアだけでなく「『日本』から彼に学びたいという依頼が寄せられるほどの腕前をもっている」ということです。

では答え合わせの前に、世界に誇るカッシャイさんの達人技を VTR でご覧ください。

カッシャイさんの達人芸とは「弓術」、そして馬上から弓を射る「騎射」。
彼が馬に乗った状態から弓を射るスピードと的を射抜く正確性は、世界中から注目を浴びるほどずば抜けているんです。

カッシャイさんのドキュメンタリー映画も火付け役となり、今ではハンガリー人が誇るハンガリー人として高く評価されています。
生でみるカッシャイさんの威厳とオーラは言葉では言い表せないものがあり、ナショナル・ギャロップで彼の内なる凄さを肌で感じました。

しかし、筆者にはもう一つ気になることが・・・
「馬に乗って的をめがけて弓を射る」この動き、ニッポンの ○○○ に似ていませんか?

そうです、ニッポンでもお馴染みの流鏑馬です!
「 YABUSAME 」とは呼ばれていませんが、現代のハンガリーでは古の技を「 Lovasíjászat ( ロヴァーシュイーヤーサト ) 」というスポーツとしてカッシャイさんが提案し、人気を博しています。

この伝統を現在、未来へ受け継いでいくために、スポーツという観点でアプローチしたことで、国内のとある体育大学では数年前からロヴァーシュイーヤーサトの授業が開講されているそう。
身体のみならず馬と心を通わせながら弓を射ることで、他のスポーツとはまた違った心の教育にもつながりそうですね。

2015年10月25日掲載「 発見!ハンガリーと日本の意外な共通点とは!? 」では、遠く離れた日本とハンガリーの知られざる共通の文化をご紹介しましたが、競技名は違うものの、スポーツの分野でも意外な共通点がありました。

現在では、ヨーロッパの一国であるハンガリー。
しかし言語学の観点から民族を分類すると、ハンガリー人と日本人はルーツが同じだったとも言われています。
カッシャイさんが VTR の中で着ている鎧もどこか欧米諸国のものと雰囲気が異なっていませんか。

遥か遠く9,000 キロ以上離れた両国。
文化を紐解いていくと、まだまだ知られていない日本とハンガリーの歴史が見えてくるかもしれませんね。

フィノマガジンでは、引き続き、ハンガリーがより身近に感じられる話題をお届けしていきますので、お楽しみに♪


2016 年ナショナル・ギャロップ ダイジェスト版 VTR


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この記事は2016年当時のフィノマガジンライターが書きました。

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