メトロ 1 番線で気まぐれブダペストめぐり


世界遺産の街、ハンガリーの首都ブダペスト。
歴史的な景観が保護されている街中は、交通網が発達していなさそうというイメージを持っている方がいらっしゃるかもしれませんね。
実際にブダペスト市内では、メトロ ( 地下鉄 ) やバス、路面電車が市民の足として大活躍していてます。
24 時間運行しているものもあり、意外と交通の便は良く、上手に利用すると観光にも便利。

フィノマガジンでは、読者の皆様にハンガリーをより身近に感じていただこう!ということで、現地の公共交通機関を使ってめぐるディープなブダペストを数回にわたってご紹介していきます。
今回は、“ 世界遺産のメトロ 1 番線の魅力 ”と途中下車で見つけた “ 入りにくすぎるグルメスポット ” のお届けです♪


レトロな電車でめぐる、気まぐれブダペスト旅

©2016FinoMagazin / Photo by Yuri

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車を持っていない筆者が、年中お世話になっている公共交通機関の中で、まずご紹介したいのは「メトロ 1 番線 ( M1 ) 」!
今回の主役、メトロ 1 番線に乗る前に、まずその路線の魅力に迫っていきましょう。

上写真をご覧の通り、メトロ 1 番線の車体は、鮮やかな黄色が基調。
駅構内は、昔懐かしい色合いのタイル、あえてむき出しになっている鉄の柱が、レトロ感を演出しています。
それは、某夢の国のアトラクションのような可愛い外観。
電車好きも、そうでない方も思わず写真を撮りたくなる、それがメトロ 1 番線です。

さらにこちら、1896 年 5 月 2 日、今から 100 年以上前に開通したヨーロッパで 2 番目に古い地下鉄
惜しくも、ロンドンの地下鉄 ( 1863年 ) に及ばなかったのが残念なところではありますが、この国で開業約 30 年後の 1927 年に、日本で初めて地下鉄※1 が完成したことを考えると、すごい歴史ですよね。

※1 日本初の地下鉄は、上野 ― 浅草間にできた現在の東京メトロ銀座線一部。

100 年以上前、メトロ建設当時のブダペスト

こちらの写真は、地下鉄博物館内で許可を得て撮影したものです。

この写真は、地下鉄博物館内で許可を得て撮影したものです。当時のアンドラーシ通りの様子。

メトロ 1 番線建設当時、ハンガリー建国 1000 年記念を祝う準備の真っ最中だったそうです。
人々が乗合馬車を利用していたこの時代、市民公園 ※2 で行われた「 Ezredévi kiállítás (千年博覧会) 」に合わせ、多くの人が記念イベントに足を運べるようにと線路を敷いたんだとか。

※2 ハンガリー語名は、Városliget ( ヴァーロシュリゲト ) 。ブダペスト最大の広場 Hősök tere ( 英雄広場 ) 裏手側に広がる大きな公園。

上写真の建物をみると、昔の Andrássy út ( アンドラーシ通り ) の様子がうかがえます。
風景を見て「どこでこの写真が撮影されたかわかった!」と、なんだか嬉しい気持ちになった読者の方もいらっしゃるかもしれませんね。
世界遺産の街ブダペストでは、100 年以上前の景色がそのまま残されているのです。

アンドラーシ通りは 2002 年に世界遺産に追加登録され、その世界遺産の真下を走るメトロ 1 番線もまた、世界遺産の一部となっています。
では、その歴史を感じながらメトロ 1 番線に乗車しましょう!


見たことがありますか? 本物の「吊革」

©2016FinoMagazin / Photo by Yuri

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1 番線車内の見所といえば、今も昔も変わらない “ 本物 ” の吊革
かつて木で作られていた椅子や内装は、新しく丈夫に作り直されましたが、日本ではあまりお目にかかれない革製の吊革は、現代でも使われています。
使い込むほど味が出る革をつかった吊革は、乗車したあとも乗客を目で楽しませてくれます。

すごい勢いで開閉するドア、大きく鳴り響く発車音。
周りの音が邪魔して、アナウンスがちゃんと聞こえないということもありますが …
日本では体験できない乗車感が旅の冒険心をくすぐります。

「さて、今回はどこで途中下車しようかな~」と気まぐれに車内の停車駅案内表をみていると、見覚えのある駅名を発見!


Kodály Körönd (コダーイ・クルンド)で途中下車

©2016FinoMagazin / Photo by Yuri

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フィノマガジン読者の皆様の中には、「コダーイ」という言葉をどこかで聞いたことがある方がいらっしゃることでしょう。
Kodály Körönd (コダーイ・クルンド) の駅名 ※3 は、ハンガリーを代表する偉大な音楽家 Kodály Zoltán ( コダーイ・ゾルターン ) にちなんで名づけられました。

※3 Körönd ( クルンド ) は、日本語で円形広場の意味。

コダーイ・ゾルターンは、世界の音楽教育に大きな影響を与えた人物
母語のわらべ歌が子どもの教育において重要であると説いた彼の音楽教育法は、日本でも「コダーイ・メソッド」として浸透しています。

コダーイ・クルンド駅を出ると、4 つの立派な銅像が立っています。
「コダーイと名付けるのだから、きっとコダーイ・ゾルターンの銅像があるに違いない!」ということで調査開始!


コダーイさんはどこ??あれれ??

©2016FinoMagazin / Photo by Yuri

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コダーイ・ゾルターンを探して、一つひとつ銅像を見て回った結果 …
コダーイさんがいない! 」という展開に。

その顔触れは、
17 世紀に活躍した伝説的な軍事指導者の Bottyán János (ボッチャーン・ヤーノシュ)
クロアチア・ハンガリー貴族出身の有名な詩人 Zrínyi Miklós ( ズリーニ・ミクローシュ )
16世紀のハンガリー文学における著名な詩人 Balassi Bálint ( バラッシ・バーリント )
スロヴァキアとの国境近くにある Drégely Vára ( ドレーゲイ城 )の長 Szondy György ( ソンディ・ジョルジュ )
の 4 名で、コダーイ・ゾルターンの姿が見当たりません。

駅はコダーイと名乗っているのに、彼の銅像がないってどういうこと?
と思われた読者の方もいらっしゃいますよね。
実は駅のすぐ近く、銅像とは別に、名前の由来となる場所がありました。


要予約!?コダーイ・ゾルターン記念博物館

©2016FinoMagazin / Photo by Yuri

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Zrínyi Miklós ( ズリーニ・ミクローシュ ) の銅像を通り過ぎると、アンドラーシ通り沿いに白いアパートがあります。
この建物、コダーイ・ゾルターンが、この世を去る前に住んでいたところ
現在も一般の方が暮らすアパートですが、かつての住居を利用して、彼の記念博物館がアパート内につくられました
入口のインターホンには、今でもコダーイの表札が出ています。

ぜひ博物館に入ってみたいと思ったのですが、建物のドアは閉まっており、呼鈴を鳴らしても応答なし。
おかしいな … としばらく待っていると、アパートの住人である母娘が買い物から帰ってきました。

「コダーイ・ゾルターンの博物館に入りたいのですが … 」と尋ねると、二人は筆者をエントランスの中に入れてくれました。
しかし、そこで衝撃の事実を知ることに。

博物館は 2 日以上前に電話かメールで要予約しないと入れないと書いてあるのです。
残念ながら、気まぐれ旅をしている筆者は見学できませんでしたが、館内にはオリジナルの楽譜など、彼の遺品が残されているそうです。
ご興味のある方は、予約してから行ってみてくださいね。

Kodály Zoltán Emlékmúzeum és Archívum
( コダーイ・ゾルターン記念博物館 )
開館日:水曜日-金曜日
開館時間:10:00-12:00 / 14:00-16:30
電話:+36 1 352 7106
メール:kodalymuzeum@lisztakademia.hu

入りにくすぎる!でも入ってみたいグルメスポット

©2016FinoMagazin / Photo by Yuri

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コダーイ・クルンド駅周辺で面白いことはないかな~と、ぶらぶら歩いていると、その時!なんだかイイ匂い!
しかし、周囲を見渡してもレストランやカフェはありません。
でも確かに少し甘く香ばしい匂いが近くから漂ってくるんです。

筆者が立ち止まった場所、そこにある建物の地下室入口に看板が!?
上写真でさえわかりにくいですが、矢印が「ここ」と指す緑の扉に何やらコックさんらしきキャラクターの絵が描かれています!
半信半疑でドアをノックしてみましたが、返事はありません。
でもぼんやりとした明かりが窓越しに見えるので誰かいるはず … と扉を押して階段を下りてみると …


アンダーグラウンド感満載のディープな空間

©2016FinoMagazin / Phot by Yuri

©2016FinoMagazin / Photo by Yuri

奥にすすむとそこには、アンティーク×サブカルチャーな雰囲気の隠れ家的空間があったんです!!
平日の 17 時と少々中途半端な時間だったので、他のお客さんはいません。
これはチャンス!とカウンターで筆者を出迎えてくれた女性に話を伺ってみることに。

彼女の説明によると、こちらは「飲食店」ではなく「組合」のスペースなんだとか。
ハンガリーの伝統スイーツ「パラチンタ」 ※4 をこよなく愛する人たちの集まる所だそうです。
組合と聞いて想像する堅苦しいイメージとは違って、日本でいうところのクラブやサークル活動に近い感じですね。

気まぐれでやって来た筆者は、もちろんメンバーではないのですが、会員以外も大歓迎ということなので、さっそくご自慢の「パラチンタ」をいただいてみました ♪

※4 パラチンタとは、ハンガリー風クレープのご当地 B 級グルメ。生地に炭酸水を使うので、パンケーキのようなもちっとした食感が特徴です。

美味しくて安いハンガリアン・スイーツ「パラチンタ」

©2016FinoMagazin / Photo by Yuri

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パラチンタ組合のお姉さんオススメは、定番のチョコバナナ。
シナモンがほのかに香る、後味スッキリのチョコソースは、お店のオリジナルらしいです。
その他、パラチンタをパスタのように細長く切って、スパゲッティー感覚でいただく斬新なものまでレパートリー豊富。

いい匂いが食欲をそそります。
しかし、注文前に気になってしまうのが、そのお値段です。
B 級グルメのパラチンタなので、それほど高くはないだろうとメニューを見ると、そこには値段表示がありません。
仕方がないので、単刀直入に「おいくらですか?」と聞くと彼女の口から驚きの一言が …

お姉さん:「いくらでもいいですよ♪ 食べたら、この箱に募金してくれると嬉しいです。」

パラチンタを食べて、その味で「自分がいくら払いたいかを自分で決める」のが、この組合のルールだそうで。
一応、パラチンタを作る最低限の材料費は書かれているので、初めて来た人はそれを見て判断します。
衝撃の支払い方法にいささか戸惑ってしまいましたが、伝統あるパラチンタの味を守りたいという熱い気持ちがメンバーを動かしているのでしょうね。

偶然訪れたパラチンタ組合 Bajnok Pali ( バイノク・パリ ) は、美味しいのに安い、在住者にも旅行者にも嬉しいグルメスポットでした。

組合名:Bajnok Pali ( バイノク・パリ )
場所:ブダペスト 6 区 Bajnok 通り
最寄り駅:Kodály körönd ( 徒歩 2 分 )
オープン時間:15:00 - 20:00 
活動日:水曜日-土曜日

世界遺産のメトロ 1 番線で行く、気まぐれブダペストめぐりはいかがでしたか?
フィノマガジンでは引き続き、読者の皆様にハンガリーをより身近に感じていただけるよう、ローカル線で巡るディープなブダペストをご紹介していきますので、お楽しみに♪


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大阪生まれの大阪育ち。神戸大学で人間行動学を専攻。中学校・高等学校1種免許(保健体育)、小学校専修免許状を所持し、子どものスポーツ教育に従事。その後、ハンガリーへ渡りブダペスト メトロポリタン大学大学院でメディアコミュニケーション学を学ぶ。現在もブダペスト在住。FinoMagazinライターの傍ら、ロケーションコーディネーター、ウエディングフォトプランナーとしても活動中。ハンガリー情報はお任せあれ。英語、ドイツ語もOK!! 日本拳法で全国制覇の経験もあり、心身の強さには自信アリ。知力・体力を磨いて、世界の現場から日本の教育にアイデアを届けることをモットーに、様々な分野で執筆に励む。

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