引き算の美学-ハンガリーの邸宅に学ぶ、こだわりの“壁面”収納術



ハンガリーのインテリア雑誌で見かけないことがないほど人気のデザイナー、トート・ヴァーシャールヘイ・レーカさん。
そんな彼女は今、日本のこけし創作大会で外国人としては初の受賞を果たしたこけし作家として、国内外から注目を集めています。※

こけし&インテリアデザイナー、トート・バーシャルヘイ・レーカさん 出典:tvreka.hu

こけし&インテリアデザイナー、トート・バーシャルヘイ・レーカさん 出典:tvreka.hu

前編ではレーカさんのお宅の玄関、そして二階の寝室と廊下のインテリアを中心にご紹介しました。

前編>ハンガリー人こけし作家の邸宅に学ぶ、アジアンモダンなルームレイアウト

 

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後編ではお子さんたちのお部屋、バスルーム、そしてリビング&ダイニングと、最もモノが多くなるお部屋たちをたっぷりとご紹介していきますね。


取手に描かれた蝶が美しい、趣ある和風の引き戸

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前回もご紹介した、レーカさんご自慢の蝶の取手が素敵な木製の引き戸。
娘さんのお部屋から廊下側を見ると、視線の先にはレーカさん作の素晴らしいこけし人形たちが、ホワイトのシェルフの上に美しく飾られています。


こけしの表情と和の美しい彩りに癒される

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レーカさんの可愛らしいこけし作品 photo by Papp Hideko©FinoMagazin2017

 

見れば見るほど愛着が湧く表情の愛らしさ、独特の色彩美学。
レーカさんが手がけるこけしの魅力は、一言で言い尽くせません。

写真奥の左手に見える少女のこけしと、手前左に写る男の子のこけし。
それらのこけしに用いられた“赤紫”の色は十二単に多く、古より大変親しみのある色です。

日本古来の和の彩りが美しいこけしたちも、インテリアデザイナーのレーカさんの手にかかればこの通り!
洋風インテリアの中に配置されてもとてもナチュラルで、なおかつ洗練されて見えるから不思議ですよね。

そして、この小さく愛らしいこけしたちの後ろにある、彼らの住まい!?に目がくぎづけに!
はちの巣のような木製のモノの中に、入れ子状態になっているのがとってもキュートで、思わずシャッターを切っていました。


こけし?のクッションが可愛い!

photo by Papp Hideko©FinoMagazin2017 /娘さんのベッド

photo by Papp Hideko©FinoMagazin2017 /娘さんのベッド

 

 

次は、幼稚園に通う下の娘さんの可愛らしいお部屋を拝見。
ベッドの上のクッションがひとつ、少女のこけしなのがとてもキュートです!


種類と向きを揃えるのが、衣類収納のコツ

子ども服の収納 向きを揃えるととても綺麗に photo by Papp Hideko/©FinoMagazin2017

子ども服の収納 向きを揃えるととても綺麗に photo by Papp Hideko/©FinoMagazin2017

 

娘さん達の洋服の定位置は、このように前方に扉が開く、壁に立て付けられた白いシェルフ。
壁面を収納スペースとして確保することで、床の部分、総じて室内が大変広々と感じられます。
棚の中も手を抜かず、どの衣類も綺麗にたたんで収納しているところが素晴らしいですね。

衣装持ちの女性に多く見られるのは、クローゼットや衣装ケースの中身がごちゃつくケース。

衣類を上手に整理整頓するコツは、トップス、ボトムスなど衣類の種類毎に分け、洋服の向きを揃えてしまうこと。
そうすれば棚の中にいっそう空きスペースが生まれ、さらに多くの衣類を収納できるという“好循環”が生まれますよね。

壁面を収納スペースとして多いに活用し、空間をスッキリと広々見せることが得意なレーカさん。
実はレーカさんに限らず、ハンガリーでは壁に棚を取り付けるのは朝飯前?くらいなほど、DIYが得意な人がとても多いのです。


なぜ、ハンガリーにはDIYが得意な人が多いのでしょうか?

その背景のひとつに、あまり頼りになる大手の業者やサービスがなく、あったとしても修理作業が高額であったり、また、緊急時にはもちろん、駆けつけてもらえないことが多いためと言えるでしょう。

自宅の修理(配管、配線)や、室内に棚を設置したり、玄関の戸に網戸を設置するくらいであれば、父親が子ども(男の子)に教えていることが一般的。

男子であれば、DIYなど家の中で大工仕事が出来て始めて一人前、という風潮があります。
また、ハンガリーでも地方都市や田舎に行くと、野菜や果物なども自家栽培する家庭がほとんどなので、(養鶏や養豚、屠殺なども自身で行う家がとにかく多いです)
とにかくハンガリーには手先が器用な人が多くて感心します。


大人もこどもも、好奇心をかき立てられるインテリア

階段の上から見たリビングの様子 photo by Papp Hideko©FinoMagazin2017

階段の上から見たリビングの様子 photo by Papp Hideko©FinoMagazin2017

先ほどの廊下から階段を降り、下のリビングルームへと移動しました。

そこで真っ先に気づく点は、なんとレーカさんのお宅には階段の手すりが、無いんです!
写真の手前に見える白い柵は、下のお嬢さんが一人で二階に上がらないよう(手すりがないため事故が怖いため)設置したとのこと。


「引き算の美学」から生まれたインテリア

ダイニングルーム側から見たリビングの様子 photo by Papp Hideko©FinoMagazin2017

ダイニングルーム側から見たリビングの様子 photo by Papp Hideko©FinoMagazin2017

リビングスペースには白のゆったりとした大きなソファが配置されています。
ソファの上には藍色や水色などのカバーで揃えたクッションが数多くありますよね。

この大きなソファ、実はソファベッドということで、主にレーカさんのお母様がいらっしゃる時、ベッドとしても活躍するとのことでした。


ところで皆さんは、ミニマルデザインという言葉をご存知ですか?

それは、北欧家具などに多く見られ、すっきりしたシルエットが魅力的なインテリアデザインのこと。

“ミニマルデザイン”は不必要な要素を取り除いたシンプルなデザインを意味しますが、装飾が少ないという意味ではありません。

ミニマルデザインのコーディネートでよく使われるのは、白をはじめグレー、ベージュなど彩度の低いカラー。全体のカラースキームをシンプルにまとめ、すっきりとして飽きが来ないので、北欧をはじめ世界中で人気があるインテリアデザインです。

壁も大きなソファもシェルフも、全体のベースカラーを白で統一し、インテリア小物などにネイビーブルーを選んで配置するレーカさんの邸宅には、ミニマルデザイン=「引き算の美学」が細部にまで感じられますね。

リビングのソファに腰掛けながら正面を向くと、ホワイト一色の壁一面が、実はシェルフになっていました!


壁全体が書籍&大きな荷物の便利な収納スペースに変身!

モノの定位置をしっかり確保。壁一面を収納スペースにして室内スッキリ! photo by Papp Hideko©FinoMagazin2017

モノの定位置をしっかり確保。壁一面を収納スペースにして室内スッキリ! photo by Papp Hideko©FinoMagazin2017

 

読書家のレーカさんは、ホストファミリーが暮らす大好きな神戸に戻ると、とにかく日本の書籍を大量に購入されるとのこと。

テレビの横に飾られたインテリア雑誌たちは、すべて日本のマガジンでしたよ!

そして、写真では見えにくいですが、テレビの上はフローリングで、階段から一続きになっています。

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photo by Papp Hideko©FinoMagazin2017

テレビの真上は階段から続く廊下のようなスペースなので、その場所から高い位置にある書籍も取り出すことができる、というわけなのです。

 


テレビの脇も後ろも!お手本にしたい側面の収納テク

テレビの奥まで!お気に入りのDVDを置くシェルフ photo by Papp Hideko©FinoMagazin2017

テレビの奥まで!お気に入りのDVDを置くシェルフ photo by Papp Hideko©FinoMagazin2017

 

 

そして、ご覧ください。

テレビ台はこのように、可動式の本棚とセットだったのです!

キャスター付きで可動式のテレビ台をこのようにスライドさせると、側面にもDVDや本がたくさん収められていました。

このように移動すると、奥の空間が隙間となるので、お子さんやお子さんのお友達の隠れ家としてとっても人気のスペースなのだとか!

インテリアデザイナー・レーカさんならではのこだわりが詰まった収納やインテリアは、かくれんぼが大好きで好奇心旺盛なこどもたちがワクワクする、とっても楽しいお宅なのですね♪


階段の上から撮影した、清潔かつ洗練されたキッチンダイニング

ここも白がベースカラーのキッチンダイニング、クッションやテーブルランナーのネイビーブルーが爽やかな差し色に photo by Papp Hideko©FinoMagazin2017

ここも白がベースカラーのキッチンダイニング、クッションやテーブルランナーのネイビーブルーが爽やかな差し色に photo by Papp Hideko©FinoMagazin2017

リビングルームと一続きになっているキッチンダイニングスペース。

レーカさんのお宅は階段に手すりがないので、このような上からのアングルで写真が撮れるのが、個人的には大変面白かったです。

テーブルウェアを見ると、浴衣のような和の生地で作られたテーブルランナーに、味わいのある手づくりの和の陶器たちが並んでいました。

ここも白がベースカラーのキッチンダイニング、クッションやテーブルランナーのネイビーブルーが爽やかな差し色に photo by Papp Hideko©FinoMagazin2017

ここも白がベースカラーのキッチンダイニング、クッションやテーブルランナーのネイビーブルーが爽やかな差し色に photo by Papp Hideko©FinoMagazin2017

 

親日家のレーカさん、来日した時に買い溜めておくという美味しい緑茶と和菓子でもてなしてくださいました。

ちなみにレーカさんの旦那様も日本のカルチャーが大好きで、茶道道具一式や尺八まで!

旦那様は個人的な趣味として、会社から帰宅後や休日に、お点前も尺八も独学で練習されているそうですよ。


調理スペースもモノを置かず、“壁”収納を徹底

ここも白がベースカラーのキッチンダイニング、クッションやテーブルランナーのネイビーブルーが爽やかな差し色に photo by Papp Hideko©FinoMagazin2017

ここも白がベースカラーのキッチンダイニング、クッションやテーブルランナーのネイビーブルーが爽やかな差し色に photo by Papp Hideko©FinoMagazin2017

レーカさんお気に入りの日本茶や茶器、和の器たちは、壁にたてつけられた背の高いシェルフが定位置。

レーカさんはお湯を注ぐポットまで収納していました。

ご自身でおっしゃる通り、アイランド型キッチンの調理スペースはモノがなくスッキリ!

その代わりに美しいグリーンたちがディスプレイされていました。

ここも白がベースカラーのキッチンダイニング、クッションやテーブルランナーのネイビーブルーが爽やかな差し色に photo by Papp Hideko©FinoMagazin2017

ここも白がベースカラーのキッチンダイニング、クッションやテーブルランナーのネイビーブルーが爽やかな差し色に photo by Papp Hideko©FinoMagazin2017

調理スペースを最大限に確保でき、見た目も綺麗と一石二鳥。

レーカさんはキッチンカウンターやダイニングテーブルの上に食材や器などを置かない主義で、見せない収納に徹するそうです。

水まわりもモノを置かない、見せない収納を徹底

洗面所

photo by Papp Hideko/©FinoMagazin2017

洗面所と一体となったバスルームやランドリールームも、生活用品は一切見せない収納に徹しているので、

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photo by Papp Hideko/©FinoMagazin2017

どのスペースも大変スッキリ広々としていました。

 

最後に、邸宅の向かいにあるアパートの一室を借りてアトリエにしているということなので、そちらに移動し、現在もリノベーション中ですが、室内を少し見せていただきました。

シンプルだからこそ、こけしの彩りがいっそう際立つ

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photo by Papp Hideko/©FinoMagazin2017

 

 

まだ工事中でしたが、ミーティングスペースも兼ねたアトリエ(工房)も、壁だけでなく床もホワイトのペンキで塗り替えられたとのこと。

レーカさんのお宅はアトリエに至るまで、白を貴重にレイアウトしているので、モノや家具自体の色みが空間の中で鮮やかに映えるのが印象的でした。

モノが多くても、壁や大きな家具をホワイトに統一することで、モノが持つ色がインテリアの差し色として美しく映えるインテリア・テクニック。

こけし作家として和の色彩を熟知し、インテリアデザイナーとしての知恵とこだわりにあふれた邸宅&アトリエを拝見することができ、いちインテリアファンとしても大変幸せな気分になれました。

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レーカさんの自著(書籍) photo by Papp Hideko/©FinoMagazin2017

 

 

ハンガリーでは数冊、ご自身の著書もあり、この数年は日本でのイベントや講演活動がとても増えているレーカさん。

日本で今後も予定される、レーカさんの素晴らしい“こけし展”、彼女のサイトでぜひ日程をチェックなさって足を運んでみていただきたいです。


トート・バーシャルヘイ・レーカさん こけし作品公式サイト

 

邸宅&アトリエ:トート・ヴァーシャールヘーイ・レーカさん

取材撮影執筆:Papp Hideko/FinoMagazin


トート・ヴァーシャールヘーイ・レーカさんプロフィール

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トート・バーシャルヘイ・レーカさん photo by Papp Hideko/©FinoMagazin2017

こけし作家、インテリアデザイナー、美術教師

ハンガリーの首都ブダペスト在住。2002年に文部科学省の援助により、幼い頃から夢見ていた日本への留学を果たす。2年間神戸大学で日本の芸術教育を研究。2004年にハンガリーに帰国後、日本で習得した知識や技術を活かしてハンガリーで芸術家として活動を開始。2011年に最初のこけしを制作。その後、こけしブランド「KAKO」を設立。Katagami házとしてFacebookで作品を掲載中。2014年には第57回全日本こけしコンクールで海外から初入賞。現在では、ハンガリー各地で行われる様々なイベント会場などでこけし作りのワークショップを開催し、子供たちの美術教育にも積極的に活動中。

<プロフィール引用:FinoMagazin>

<引用先URL>オシャレすぎるハンガリーのお宅を大公開!


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ブダペスト在住ワイン(とインテリア)コラムニスト。フィノマガジン主宰。ワインアドバイザー(Wine & Spirits Education Trust認定Higher Certificate)。現在はオーストリアのWSETでDiplomaコースに通い、MWの夢をいまだ捨てきれず勉強継続中。大手食品メーカー、ワインインポーターの社員として勤務後、広告業界へ。元博報堂グループ(広告代理店)コピーライター、ディレクター(AD & WEB)、プロモーション・プランナー。現在は出版社や雑誌社をはじめ、さまざまな媒体で執筆業を中心に活動。◎受賞歴: J-wave主催Webビジネス開業支援コンテスト特別賞受賞(企画書制作部門)◎メディア出演歴:湘南ビーチFM(ラジオ局)“ワインのお話”メインレギュラー(約2年)。2016年: amebaTV、abemaNews、ハンガリーのネイル製品ブランドMoyra(モイラ)の日本部門【Moyra Japan】代表。

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