大学とデモンストレーション:ハンガリー、いま動き出す若者たち


FinoMagazin読者の皆さん、はじめまして。

私はハンガリー、ブダペスト出身のラキ・バラージュ(Laky Balázs)と言います。

ブダペストのカーロリ大学2年生ラキ・ヴァラージさん Photo by©Laky Balázs

ブダペストのカーロリ大学2年生ラキ・ヴァラージさん Photo by©Laky Balázs

日本語と日本文化について若いころから興味を持って、2010年から日本語を勉強しはじめました。
現在、ブダペストのカーロリ大学の3年生です。

2015年9月から2016年8月まで日本の大阪大学で留学しました。
その時の経験と思い出が、私の心の中の「日本で働きたいな~」という気持ちをいっそう強くしています。
大学を卒業したら日本で英語教師として働くつもりです。

これからFinoMagazinで、私の国ハンガリーでの日常や出来事、気になる話題を取り上げていくので、ご覧いただければ幸いです。

最初にお伝えするのは、ハンガリー国内でいま起きているこの問題。
CEU大学廃校に抗議する大規模なデモ活動のニュースについて、です。

デモの現場で目の当たりにした出来事について、今回のデモの主役“CEU”の学生達と同じ大学生という立ち場から見て感じたことを、リアルにレポートしたいと思います。


デモ?でも、なんで?

Photo by©Laky Balázsの妹さん

英雄広場前で行われた大規模なデモの様子 Photo by©Laky Balázsの妹さん

デモ=デモンストレーションはポジティブかネガティブか、それを決めるのは難しいことでしょうね。

デモをすることの理由、原因は主に良くないことで、デモの事を考える時、あまり良い気分にならないかもしれません。

一方、デモは民主主義においてとても重要な出来事といっても大げさではありません。
成功しても、失敗しても、ある意味で自由の勝利とも言えます。


デモのきっかけ

法改正の悪影響を受ける、デモの当事者となったCEU大学の外観

今年2017年4月初めにハンガリーでこの連続デモは始まり、4月下旬の現在も続いています。

その引き金はオルバン政権が進める高等教育の法改正です。

この法改正が施行されることによって、いくつかの高等教育機関に大きな影響を及ぼし、それらの教育機関の教育を、つまり実質的な運営を止めてしまう可能性が高いと言えます。

それにより、影響を受ける高等教育機関の中で一番有名なのは、ブダペストにあるCEU=中央ヨーロッパ大学(Közép-európai Egyetem)です。


CEUとは?

法改正の悪影響を受ける、デモの当事者となったCEU大学の外観

中央ヨーロッパ大学(以下、CEU)は、1991年に創立されたブダペストの私立大学です。
CEUでは、授業が全編英語で行われています。

アメリカ合衆国(以下、米国)の認定を受けるCEUは、米国において有効な学位を得ることができます。
つまり、CEUは米国の大学ですが、実際にはアメリカ国内にCEUのキャンパスがありません。

政府に提出された法改正の一つは、ハンガリー国内に所在する大学が他国の学位を取得する場合、その学位を与える側の国に大学のキャンパスがないと、ハンガリーで活躍できなくなるそうです。

なぜ、ハンガリー国内でデモが活発になっているのか?

この一連のデモは、CEUの学生や教師達、学校関係者が、自分たちの大学が存続することを願って政府に対し行動を起こしたのが発端です。

彼ら(当事者)の切なる訴えに共鳴し、彼らをサポートしたい市民達が同デモに参加するようになり、一連の大規模なデモへと発展し、現在の状況に至っています。
ハンガリー政府が法改正の前に、それにより影響を受ける複数の大学としっかりと話し合うこと、そして、意見を合わせ、双方にとって有効(な法改正)になることを願ってのことからなのです。

(法改正の施行によって)廃校の危機に直面しているCEU。
CEUや影響を受ける大学に籍を置く学生達をサポートしたい想いが、一般市民の間でますます広がりを見せています。


動き出した者たち

Photo by©Laky Balázsの妹さん

英雄広場前で行われた大規模なデモの様子 Photo by©Laky Balázsの妹さん

同じ大学生として、他の大学の苦労を見るのは、良くない気持ちです。

確かに、あらゆる大学は同じルールを守らなければならないけれど、今の高校生は進学する時いくつかの選択があるのも大切だと思います。

進学の選択は自由でなければ困りますね。

当事者である学校関係者はもちろん、ハンガリー国民の大勢の人々が、この法改正はある程度、自分自身の自由をも奪われるような気がするのだそうです。

進学の自由を奪われる、本当にそうだったとしたら、デモが始まったことは全く、おかしいことではありません。
自分も然り、今の若者世代は、自由は最も愛し、大切にする世代だと思います。

普段は政治に興味や関心がなくても、いざ、意見しなければいけない時になれば、はっきりと声を出す。
現代の学生達の前に広がっている世界は、人、文化、国の垣根を越えて、その距離はますます縮まっています。

100年前の世界と比べると、ハンガリー人の学生達は世界中の多くの国々で勉強できるようになりました。
それが続いていくことは、ハンガリーの(進学と職業選択の自由を望む)若者達にとってはまさに理想郷です。

また、母国ハンガリーに暮らしながら、他国が認可する大学にも進学することができ、さらに、他国でも有効な学位を取得するのは、就職活動の時に大変有利になります。

Photo by©Laky Balázsの妹さん

Photo by©Laky Balázsの妹さん

こういったことを考えてみても、今回の一連のデモのテーマは“自由”であり、自由を守るために大勢のハンガリーの若者達が動き出したのだと思います。

法改正に影響を受けるCEUやその他の大学(の教育)がこれからも存続され、学生達が大学に通い、今まで通り学位を取得できること、そして、この大規模なデモが問題なく終わりますように。

この国の今、そして未来のためにも、心からそう願います。


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ハンガリー、ブダペストの出身です。日本語と日本文化について若いころから興味を持って、2010年から日本語を勉強しはじめました。現在、ブダペストのカーロリ大学の3年生です。2015年9月から2016年8月まで日本の大阪大学で留学しました。その時の経験と思い出は私の心の中の「日本で働きたいな~」という気持ちを強化し、卒業したら日本で英語教師として働くつもりです。趣味として翻訳するのは大好きで、歌詞や俳句を翻訳するのは今になって日常的な事だと言えます。

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