セント・ドナート/St.Donat バラトン湖の美しいオーガニックワイナリー&レストラン




早いものでもう9月、ブダペストでは9月6日〜9月9日の4日間、ブダ王宮でワインフェスティバルが開催されていました。
毎年、この世界遺産のお城で開催される一大イベントが終わると、ああ秋になったのだなとしみじみ思うものです。今年のワインフェスティバルも足を運んできたのでこの先、記事にしたいと思いますが、現在、取材撮影を終えたワイナリーが何社もあり、全く記事配信が追いついておりません。。
ということで、今回もまたワイナリー紹介になりますが、お酒が苦手、特にワインが苦手な方、ワインの話ばかりでご容赦ください。。。
お酒嫌いな方でも、写真に映るのどかな、そして美しい風景をお楽しみいただければと思います。

さてさて、今回、特集するのは、リゾート地として有名なバラトンフュレド、その隣村にあるオーガニックワイナリー。
チョパクはバラトン湖沿岸に無数にあるワイン産地の中でも上質な白ワインの名産地として有名です。
そのチョパクで大人気のレストラン“Marga Bistro”も経営する“セント・ドナート” ワイナリー。
7月21(土)に開催されたテイスティング・イベントの模様と、1年がかりで取材したワイナリー&レストランをご紹介します。


セント・ドナート/ST. DONAT チョパクのオーガニックワイナリー

wineryentarance

セント・ドナートワイナリーの外観 Photo by ©Finessewinepia&FinoMagazin2018

一番上の動画と記事一番下のスライド写真(▶をClickすると次の写真をご覧いただけます)は、7月21日に同ワイナリーのテラスで開かれた試飲会の様子です。
それは、セント・ドナートのお隣にあるワイナリー、“フェケテ・エステート/FEKETE ESTATE”との合同イベントでした。
ワイナリー名は、葡萄畑の守護聖人と呼ばれた歴史上の人物、聖ドナート※にちなんで名付けたそうです。

picuture©Wikipedia Hungary

picuture©Wikipedia Hungary

※イタリア共和国トスカーナ州にある都市アレッツォの司教、葡萄畑(ワイン)の守護聖人と呼ばれた。西暦362年8月7日に殉教している(没年には異説がある)。

動画をご覧いただくとお分かりの通り、“セント・ドナート/Szent Donat”は、レイクビューも堪能できる美しいワイナリー。
下の写真の方が、同ワイナリーの若きオーナー、コバーチ・タマーシュ/Kovács Tamás氏です。


コバーチ・タマーシュ氏 /Kovács Tamás

セント・ドナートワイナリーのオーナー、コバーチ・タマーシュ氏 Photo by ©Finessewinepia&FinoMagazin2018

この撮影の日は昨年の11月。

その日の朝、ブダペストのデリ駅から鈍行電車に乗ってワイナリーへ向かった筆者。
あいにく、電車の出発は遅れ、その遅れのために乗り継ぎの電車に間に合わず、結局1時間以上もワイナリーの皆さんをお待たせすることになってしまいました…。

チョパク駅に着くと、タマーシュは嫌な顔ひとつせずに、優しく出迎えてくださいました。
この日が彼とは初対面でしたが、本当に親切な方で良かったと心の底から安堵したものです…。


多様性のある土壌(テロワール)が育むオーガニック認定ワイン

volcano

Photo by ©Finessewinepia&FinoMagazin2018

ワインカーヴ(セラー)を拝見する前に、セント・ドナートの葡萄畑(Vinyard)に案内していただくことに。

セント・ドナートのワインの原料となる葡萄品種は、白ワインは主にオラスリズリング(Oraszrizling)、フルミント(Furumint)種、そして赤ワインはケークフランコシュ。
タマーシュ氏いわく、葡萄畑の土は、石灰岩、粘土鉱物、白亜質(灰白色の軟土質の石灰岩)、火山性土壌とのこと。

ワイナリーのエントランスにあるテーブルの上には実際に葡萄畑の土(土の欠片)をこのように展示していて、異なる土壌から個性あふれるワインが生まれていること、まずは葡萄畑の土壌についてお話をお伺いしました。


ハンガリー原産の葡萄品種を育てる『赤い土』

teroir

Photo by©FinoMagazin2018

最初にタマーシュ氏の運転でセント・ドナートの葡萄畑を見に行くと、特徴的な赤い土の畑が目の前に広がっていました。
バラトン湖の北側にあるこのティハニ半島ではかつて、最大の火山活動があったそうです。

タマーシュ氏によると、

『これらの石灰岩や粘土質の土は約3億年前、超大陸パンゲアの時代に生まれたとても古いものなんだ。
超パンゲアの時代、ハンガリーはとても高い山々に覆われていて、その後の恐竜の時代になると、ハンガリーは海底の中にあったそうだよ』
とのこと。
ティハニの火山活動によって生まれた赤色の土は触れてみるとまさに『粘土』そのもので、水気と粘り気がしっかりとありました。

赤い土に植樹されているのは赤ワインの原料となる『ケークフランコシュ』。ハンガリー原産の葡萄品種です。

タマーシュ氏いわく、セント・ドナートのワインは葡萄品種それぞれに最適な土壌を選んで(ワイン用の)葡萄を栽培しているとのこと。

さらに、
『フランスのAOCのようにハンガリーにも原産地呼称(原産地名称保護)あって、OEMと呼ばれているんだ。
チョパクもトカイと同様に保護された場所なんだよ。
この赤い土の葡萄畑は単一畑(Single Vinyard)※といって、チョパクのワインの強みは、そのように単一畑から収穫した1種類の葡萄品種のみで造るワインなんだ』
とのこと。

※1種類の葡萄品種のみしか栽培していない畑のこと。ハンガリーでは、 Dűlőと表記されている。ちなみに、Hegyborと書かれたワインは複数の葡萄品種が栽培されている畑のことで、格付け的にはDűlő=Single Vinyardのワインのほうが価値が高いとされている。

Photo by©FinoMagazin2018

Photo by©FinoMagazin2018

こちらはワイナリー兼レストランのテラスから見た、葡萄畑の風景。(昨年秋に撮影したので収穫がすでに終わった状態でしたが)畑の先に広がるのがバラトン湖です。


ワインカーヴの手前にあるテイスティング・スペース

tastingtable

Photo by ©Finessewinepia&FinoMagazin2018

葡萄畑を案内していただいたあとは、ワインカーヴの中へ。

中に入ると手前に、ワイナリーツアー客やワイン業界関係者の方のためのテイスティング・スペースが。
冬は室温14度、夏は最大でも約16度と、レンガ造りのワインカーヴの中はひんやりしていて適度に湿度があり、ワイン醸造のための最適な空間が自然に保たれていました。

 

stdonat

Photo by©Finessewinepia&FinoMagazin2018

ティハニ・アイランド、チョパクにあるセント・ドナートワイナリー。


重厚な扉の先に広がる、美しいワインカーヴ

winecave

Photo by©Finessewinepia&FinoMagazin2018

レンガ造りのとても重い扉を開くと、オークバレルが目の前にずらりと並んでいました。
階段を降りて、ワイン醸造が行われているカーヴの中へ。

winecave3

Photo by©FinoMagazin2018

木樽の表面に書かれた文字(アルファベット)はワイン名。
以前ご紹介したワイナリーと同様に、どの木樽に何の葡萄品種のジュース(ワイン)を寝かせている(熟成)のかが分かるようにしています。

oak1

Photo by©FinoMagazin2018

このMAGMAと書かれたオーク樽の中で醸造されているのは赤ワインのケークフランコシュ。
木樽の中で10ヶ月間熟成されてからボトリング▶ラベリング▶市場へと出荷されていきます。


中世のワイン造りで実際に使われていた道具たち

wineshelf2

Photo by©FinoMagazin2018

1800年代、実際にオーナーの先祖の方がワイン造りで使用していた当時の道具たち。

ferencze

Photo by©FinoMagazin2018

1816年当時、実際に使われていた貴重な器具たち。それらはアンティーク家具のように、美しく展示されていました。


セント・ドナートのワインが堪能できるレストラン、マルガ・ビストロ/MÁRGA Bistro

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

Photo by©FinoMagazin2018

ワインカーヴを拝見した後は、いよいよワインのテイスティングに、この瞬間を今か今かと心待ちにしていた筆者^_^


ハリウッド・セレブもお忍びで来店する、大人気のレストラン

photo by ©SzentDonat.hu

photo by ©SzentDonat.hu

この記事をまとめていた2018年9月7日(金)、こちらのマールガ・レストランに、あのシュワちゃん(Arnold Schwarzenegger)がご来店!!という驚きのニュースが飛び込んできました^-^。

szuwaru

Picture by © MÁRGA Bistro Facebook Page

どうやらシュワルツェネッガーさんがバカンスでハンガリーに滞在されていたようです。

ハンガリー全土の中からマールガ・レストランを選んで来店されるとは、さすが超セレブ、お目が高い!?
きっとお料理とともに、セント・ドナートのワインを心ゆくまで堪能されたことでしょう。

それでは、ワイン好きの方、お待ちかねの(待ってないって?)、セント・ドナートのワインラインナップ、テイスティングの感想を述べていきますね。


チョパク/Csopak 2016  オラスリズリングの白ワイン

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

最初にTastingさせていただいたのが、ワイナリーのあるチョパクの名を冠した白ワイン。

これは以前、サバー・ワイナリーの取材撮影記事内でもご紹介した、ハンガリー原産の葡萄品種、オラスリズリングが原料の白ワインです。

※オラスリズリングについては、前の記事でご覧ください。

2017年の秋に2016年ヴィンテージを試飲したわけですが、この日の感想としてはとても若い、フレッシュな美味しさの白ワインというのが第一印象。
魚介のマリネや海藻のサラダ、刺身、お寿司にもよく合いそうな、ミララル豊かな、そして、はつらつとしたスッキリ辛口ワインでした。


マールガ/MÁRGA 2015  フルミント種の爽やかな白

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

Photo by©FinoMagazin2018

そして、二本目。次に空けていただいたのがこちらの白ワイン。
レストランと同じ名前の“マールガ/MÁRGA”というフルミント種の辛口ワインでした。

色合いは美しいレモンイエロー。
白い花や青リンゴのようなアロマ(最初にグラスをまわす前に感じる香り)を感じ、いざ口にふくむととてもイキイキとした酸味と、レモンやグレープフルーツといった柑橘系のフレーバーを持つ、非常に爽やかな白ワインでした。

試飲直後の感想として、ブルゴーニュ地方のシャルドネを連想するとオーナーに伝えると、タマーシュ氏いわく、チョパクの緯度はブルゴーニュ地方とほぼ同じなんだとか!
さらに、このバラトン地方でも、チョパクのワイン造りの歴史が始まったのは、フランス・ブルゴーニュ地方と同時期(紀元1世紀頃)なのだそう!

ハンガリーもフランスもイタリアのローマ帝国下に支配されていた紀元1世紀。
そして、同ワイナリー名の由来である葡萄畑の守護聖人、聖ドナート(イタリア・トスカーナ地方アレッツォの司教)が生きた時代は紀元4世紀。
ハンガリーもフランスも、ワイン造りの歴史が同じなのは世界史に詳しい方ならすぐにピンと来るのかもしれませんが、タマーシュ氏に教えていただくまで知りませんでした!!(ワインの知識を勉強し続けてきたはずなのに、恥ずかしい!!)

もともとフランスワインのインポーター(輸入▶営業)からキャリアをスタートし、ブルゴーニュ地方の赤ワイン(ピノノワール種)を愛してやまない筆者としては、大好きなブルゴーニュワインとチョパクのセント・ドナートのワインに共通点がある事実を知ることができ、とても嬉しかったです。


マグマ/MAGMA 2015 ケークフランコシュの赤

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

Photo by©FinoMagazin2018

フルミントの白の後は赤ワインをテイスティング。
こちらもオラスリズリングと同様、ハンガリーオリジナル(原産)の葡萄品種/ケークフランコシュを原料として造られた赤ワインでした。

先ほどご紹介した赤い土の単一畑から収穫された葡萄が、同ワイナリーのワインカーヴにあるオーク樽で10ヶ月間熟成され、今ようやく目の前で試飲できるというわけです。
Single Vinyardの赤ワイン、外観はルビーとガーネットの中間とでもいいましょうか。
とても綺麗な色合いです。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

Photo by©FinoMagazin2018

以前の記事でもケークフランコシュの赤ワインについて言及していますが、ワイン愛好家の方にはブルゴーニュ地方のピノ・ノワールを連想してもらうと香りと味わいがイメージしやすいかと思います。


Élet a Marson 2016– 100%オラスリズリング種の辛口スッキリ白ワイン

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

Photo by©FinoMagazin2018

日本語に訳すと、『火星の生命(いのち)』という言葉が一番近いÉlet a Marsonという名前がつけられたこちらのワイン。

100%オラスリズリング種の辛口の白。
チョパク名産でもあるオラスリズリングの白ワイン。

レモンやグレープフルーツを思わせるフルーティな香り、そして味わいは酸味がしっかりと感じられるのに、余韻はとてもエレガントという、ヴィンテージは若いものの、大変上質な白ワインでした。


酸味豊かな白ワインに合う、ヴィネガーが効いたマリネ

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

Photo by©FinoMagazin2018


ピノノワールに似た赤ワイン、ケークフランコシュに合う鴨のコンフィ

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

Photo by©FinoMagazin2018


締めのデザートは、甘酸っぱい苺のシャーベット

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

Photo by©FinoMagazin2018

ワインを一通り試飲させていただいた後は、グラスに残ったワインとともに、アーノルド・シュワルツェネッガー氏も大満足した、ワインと最高に合う大変美味しいお料理をいただきました。なんと贅沢な取材でしょう!

最後にタマーシュ氏と一緒に(個人用)写メを撮ろうとしたら、レストランのソムリエさんが記念撮影してくださいました。
(実は昨年11月に、筆者はハンガリーのワインメディアで取材=インタビューを受けたのですが、その時の記事になぜかこの写真が表紙で使われてしまいました。記事の内容とこの写真はまったく関連性がなかったのに、不思議です…)

isshoni

Photo by©FinoMagazin2018

オーストリアにあるミシュランで2つ星評価、世界のベスト50に入るレストランでも、5本が提供されている、素晴らしいオーガニックワイン“セント・ドナート”。

この7月から筆者は同ワイナリーの正式な輸出エージェントとなりましたので、同ワインの輸入をご検討いただけるインポーター様からのご連絡をお待ちしています! ▶メールアドレス finessewinepia アットマーク gmail.com

最後はちょっと宣伝となり恐縮ですが、ワイン愛好家の皆様、こんなに美味しいハンガリーワインを一生知らないでいて、良い訳がありません!!
セント・ドナートワイナリー、ワイナリーツアーもバラトン湖の絶景が堪能できて、おすすめですよ!!

取材・撮影・テイスティングノート/©Papp Hideko ブダペスト在住ワインコラムニスト Wine & Spirits Education Trust 認定Higher Certificate(Level.3)、Szent Donat Birtok正規輸出エージェント

Szent Donatワイナリーのオーガニックワインを輸入ご希望のインポーター様、ご連絡お待ちしております!!

Szent Donat輸入・お問い合わせ、ご連絡はFinesseWinepiaコチラからどうぞ。


author-avatar

ブダペスト在住ワイン(とインテリア)コラムニスト。フィノマガジン主宰。ワインアドバイザー(Wine & Spirits Education Trust認定Higher Certificate)。現在はオーストリアのWSETでDiplomaコースに通い、MWの夢をいまだ捨てきれず勉強継続中。大手食品メーカー、ワインインポーターの社員として勤務後、広告業界へ。元博報堂グループ(広告代理店)コピーライター、ディレクター(AD & WEB)、プロモーション・プランナー。現在は出版社や雑誌社をはじめ、さまざまな媒体で執筆業を中心に活動。◎受賞歴: J-wave主催Webビジネス開業支援コンテスト特別賞受賞(企画書制作部門)◎メディア出演歴:湘南ビーチFM(ラジオ局)“ワインのお話”メインレギュラー(約2年)。2016年: amebaTV、abemaNews、ハンガリーのネイル製品ブランドMoyra(モイラ)の日本部門【Moyra Japan】代表。

No Replies to "セント・ドナート/St.Donat バラトン湖の美しいオーガニックワイナリー&レストラン"